namo guru mañjughoṣāya
十方のすべての勝者と勝子を礼拝せん
無辺の衆生を有から解脱させるため
無辺の祈願を純粋な意志で誓願する
欺かぬ三宝とその力を持ち給われる
仙人の力で真実の言葉が成就せんように
これから生を繰り返すどんな時であろうとも
悪趣やそこへと邪に堕ちゆく者たちの姿にて
私は決して生まれて来ることのないように
いつも有暇具足の人身を得てゆけるように
生まれた後には直ちに有の享楽を
決して貪らずに解脱を得るために
出離の意志で梵行を追求するために
努力を怠らずに進んでいけるように
私が出家しようとする時には
隣人や親族や環境のすべてが
妨げとなることもないままで
思い通り順縁が実現するように
出家した後には生を終えるまで
戒師・阿闍梨の御前で誓った通りに
本性上あるいは制約上の定めを越える
違犯を侵すなどは決して為さないように
梵行者となることができたのなら
甚深広大の大乗法のそのすべてを
母たちのため困難を厭うこともなく
無量の劫をかけて成就してゆかんことを
数々の教説と証解の功徳で心が満ちていて
落ち着きがあり自制されているがやさしい
利他を労ともせず実行する勇ましさもある
そんな勝れた善知識に師事できますように
常啼菩薩が法上菩薩に師事なされたように
この身体と生命と所有物に心を奪われもせず
勝れた善知識へ献上しお慶びいただけるように
ひとときでも歓びに影がさすこともないように
甚深で寂静で戯論を離れた般若波羅蜜の
その奥義を誤解で穢してしまわぬように
常啼菩薩へと説かれていったそのように
私にも常に教えが授けられ続けるように
牟尼の密意が目指すものとは外れている
常断の見解を説こうとしている教師たち
不善の業をなすための罪業の悪しき友たち
彼らの支配下には決して下らないように
清らかな志の巨大な帆を大きく広げて
弛むこともなき精進の順風を満面に受ける
聞思修のこの船を正しく運航させてゆく
生物たちを輪廻の海から救出できるように
聞法を重ね 殊勝な贈与を為してゆく
清浄な戒を護りつつ分析する智慧をもち
私の精神が発展する時には常にその限り
何度でもすべての抵抗を克服できるように
清浄な道理力で教説の真意をありのまま
分析する時にも他者ばかり頼ることもない
そんな賢者に寄り添って無限無辺の教説を
決して満足することもなく聞法できるように
聴聞した内容を四種の道理を手がかりに
昼も夜もその通り正しく分析していくと
大切なことに向き合えば思索できている
判断力がついて疑念も霽れていくように
いつの日か極めて甚深なる正法の真実を
思索できる知性で確信を見出せたその時は
現世への執着を断ち切った精進を手にして
寂静処を棲家とし正しく成就してゆけるように
このように聞思修で勝者が意図された
その枢要を心の流れに創りだした時
再生を渇愛してしまう現世での栄光や
己の楽などは求める気にもならぬように
自分の所有しているすべてのものに
愛着もせず惜しみ深い気持ちも克服し
はじめは有情たちには所有物を施して
周りに集う者たちを法で満たせるように
授かった学処は細いものでさえ
出離の意志で菩提に至るその時まで
身命さえもかけて放棄せぬようにし
解脱の勝幡を常に護り通せるように
私に苦痛を与えてくる有情たちを
見かけたり話に聞き想像してみる時に
彼らを嫌う気持ちを捨ていま一度彼らの
長所を褒め称え忍辱を修習できるように
純白の正法の未だ得てないものを得て
既に得たものはさらに高めて発展させる
これを損なう三種の懈怠はすべてを
断ち切って精進に邁進できるように
有辺へと堕落させる観の力をもたぬもの
寂辺へと堕落させる悲の潤いもないもの
その大部分が再生へ導く止は捨て去って
止観の双運こそを修習してゆけるように
甚深実相の深層に恐れ慄いてしまい
想像上の部分的空を最勝と勘違いする
そんな悪しき誤解のすべてを正しく断じ
一切法が本来空であることを証解せんことを
清浄な所学を慚愧なき心で破壊する
尊者が非難される悪業を畏れもしない
沙門の格好をして破戒している者たちを
私が瑕疵なき戒へと導いてゆけるように
道を棄て悪しき邪道へと向かっている
不善なる師や悪友に支配された者たち
そんな人々でさえ 勝者の称えた道を
なるべく容易く向かわせられるように
私が語り議論し記してゆく獅子吼の共鳴が
邪説を語っている狐の群れの威勢を奪い去り
それが教え導いている方便により彼らを摂取し
滅びることもない教説の勝幡を守り抜けるように
これから私は何処に生まれてこようとも
牟尼の教法の甘露により渇きを癒してゆく
よき家族 よき身体 豊かさを享受して
智慧をもち 長寿で無病であれるように
私のこの身体 この生命 豊かさに
危害を加えようという思いに駆られている
私に敵対し誹謗中傷してくる者たちでさえ
殊更により深く母の如く私は慈しまんことを
遠からず近い未来には彼らでも
自己よりも他者を大切に思う菩提心という
この殊勝な浄志を持つよう私は仕向けることで
無上の菩提の境位を与えることができることを
これらの祈りを眼にする人や耳に入れる人
あるいは想像しようとするすべての人々が
勝子たちが誓い給われたこの偉大な誓願の
すべてが実現していくのに躊躇わぬように
殊勝な志に動かされ善く編めた
この広大なる祈願の力が発揮して
祈願波羅蜜のすべては円満に究竟し
一切の生物の希望を叶えられんことを
以上、初中後に善たらんことを誓願するこの祈願は、多聞の遊行者ロサンタクペールがショトゥー・ペルのディクンティルで編んだものである。