三世を解すインドラと敵アスラ
プラムディタ 竜王 そして大仙たち
彼らが誇るその王冠の宝飾は
彼の君の蓮華座の荘厳となる
御身は金光を放ち栄華の威光で包まれる
御語はガンダルヴァの旋律さえも及ばない
御心は千萬の光に輝きすべてを明らかにする
彷徨う無辺の衆生の勝導師 釈迦族の首長よ
澄明な秋空に 星たちは現れる
そして大海原で燦々と輝くだろう
澄明な心には 君の功徳は現れる
そして明るく乱れずに輝くだろう
月の光へ若き水生は触れる
私は胸元で指先を萎ませる
一心に君を想い 君に対面する
ここに詠むこの歌をどうか聞き給え
明天の空 月は星たちに囲まれる
君もまた 勝子や勇者に囲まれる
先導の牛は牛の群れを導いている
君は阿羅漢たちを連れ導いている
広大な金色の光は天空すべてを覆い
数千の網となりすべてをつかまえる
君の御身は空の筋へと神変を示現し
鶩王の如く群れを率い飛んでゆく
その時 往古より積集された賢業の
時は熟し百千の天人たちに
御君の尊顔を拝謁させるのと同時に
悪しき心の連鎖より解き放たれる
勇しき君 あなたは菩提樹の下で
智慧と慈愛という軍勢により
狂った魔物のすべて制圧なされた
強い風に黒雲が払われたように
武器や甲冑を用いなくてもよく
たった独りで千万の軍に立ち向かう
すべてを制圧するこうした戦いを
君以外の一体誰が戦い得るだろう
このように君は慈しみの焔で
欲界の神々が諍う心を打ち砕き
さらに君は衆生にその慈愛という宝石で
常に偏ることなく等しく与え給われる
君が衆生を利益するために
疲れを感じることは微塵もない
衆生が君の功徳を語るのに
疲れてしまうこともないように
深海の底のような深き御心
天の鼓のように善説の御語
須弥山の頂のように無比の御身
これを眼にしそれを追想するだけで
有意義たる彼の偉業を為せる君よ
すべての世界の一切有情たちが
すべて同時に疑問を投げ掛けるとも
彼らすべてのそれぞれの眼の前に
すべて同時に御身と言葉を化現させる
偉業を為しながらも分別を寂静にする
君の身口意のこの秘密の行相は
勝子・声聞・独覚がいくら考えようとも
彼らによって量り知り得る対象ではない
然れば梵天や帝釈等は言うまでもない
ガルトマーンは翼を拡げ飛び巡るが
自らの力が尽きるとき帰路に就くのであり
決して天空が尽きて帰路に就いたのではない
君の功徳を語るのもこれに等しい
翼の力を全うしているガルダたちの
航路を小さな鳥が追い掛けるように
十力を究竟され赴かれている
この私は最勝道を向かうべきであろう
実相の義を見つめる智慧の眼には傷があり
厭離と菩提心を享受するも欠乏してしまっている
私を常に愛してくれるのは強力な煩悩という敵ばかり
我執の深き崖底へと墜ちてしまった
このように無力な境涯に有る時に
もしも大慈の君に見放されるのなら
劣者をより深く愛し護る君以外の
一体誰を依処としよう
五濁で汚染し尽されたこの場所は
他のものには見放されたと雖も
主 君はこれを摂取すると誓い給われた
勝子たちが白蓮の如しと称讃されたのは
無意味なことではなかったはずだ
然れども君の御業が所化たちを
慮らず無関心であることは有り得ない
これはただ悪劫の私の過ちに過ぎない
それゆえ君に過失が及ぶこともないだろう
いまよりは菩提の核心へと魔の軍勢に
打ち勝つことができるようになるそれまで
繰り返し生を受けても君に摂取され
教説の甘露に飽くことのなきように
『如来応供正遍知明行足善逝世間解無上士調御丈夫天人師仏世尊釈迦牟尼如来に対する讃 加持近入』と名付けるこれは、持蔵者ジャンペル・ギャツォという私の弟子の委嘱によって、多くを聴聞をした勝者の教国徒ロサンタクペーペルがヒマラヤ地方の雪山の王であるオデグンゲルのラショルにて識したものであり、筆記者持蔵者バドラパーラが文字にしたものである。