[帰敬文]
至尊大師たちに頂礼します。
[礼賛]
勝者の教説すべての核心の目的
勝子たちに讃嘆されている道
賢劫の解脱を求める者たちの桟橋
私はこれらを出来る限り説明してみたい
[著作宣誓]
誰であれ今生の楽へと執われず
有暇具足を活かさんと勤める者
勝者を歓喜させる道へと心を決めた
賢劫者たちよ心平らかに聴聞せよ
[出離]
清浄な出離心をもたなければ
苦海の楽果への期待を退けられない
有に渇愛し身体をもつ者たちは
完全に束縛されているので先出離を求めなさい
暇とゆとりは得難く寿命も猶予はない
心に修習し長寿の望みなどは退ける
業果は欺かない輪廻の苦である
こう何度も考えると 来世への期待を退ける。
このように修習することにより 輪廻円満を
祈ろうとする心は一刹那たりとも起こらず
夜昼解脱を追い求める この意識が起こるなら
今この時出離が起ったことになる
[発心]
これも清浄心を起こしたことで
もたらされたものが無いのなら
無上菩提の究竟という常楽の因とならない
それ故智者は無上菩提心を起こすべきである
四つの激流に流されるままになり
避け難い業の呪縛で引き回され
我執の鋼の網に捕まっている
無明の暗闇に包まれている
無限に有へと生まれ生まれ
三苦で絶えず煩悶している
この境涯にある母たちの
心境を想い最勝の発心を起こせ
[空性を理解する智慧について]
実相を証解する智慧もないのなら
どんなに出離や菩提心を修習しようとも
再生の根源を根絶することは出来ない
それ故 縁起の理解に努めるべきである
どのような人も輪廻から涅槃の一切法の
因果は決して欺かないことを思い
志向する対象のそのすべてが滅していく
仏を歓喜させるこの道へと入るがよい
現象たる縁起は欺かぬものであり
しかも何も承認できない空である
この二つの証解が別々に顕れる限り
未だ牟尼の密意を得たとはいえない
いつの日か交互にではなく時を等しくし
縁起が欺かぬと見ているその瞬間に
すべての偏見の習性を放棄できるなら
その時に思索の探究は完成するだろう
また顕現によって有辺を排除し
空である故に無辺を排除した空性が
因果として現成した真実を証解すれば
辺見に踊らされることはなくなるだろう
[廻向]
こうした三種の道の根本たる
この核心を私のように理解し
寂静処に座し精進力を起こし
永遠の目的を達成せんことを 子よ
[跋文]
以上、これは沢山聴聞した比丘ロサンタクペーペルがツォコ・ガワンタクパに諭されたものである。すべてに幸あれ。