2020.10.19

僧院教育

チベット仏教最大宗派ゲルク派の総本山デプン・ゴマン学堂では約20年間に渡る伝統的な仏教教育プログラムにのっとって、僧侶を教育しています。これらの学級を修了した者は、ゲシェー号(仏教博士)を取得し、各末寺などで布教師として仏教の講義をすることが出来るようになります。

チベット仏教の仏教観を表す経典の詩句に次のものがある。

牟尼たちは罪業を洗い流すのでもなく
彼らの手が衆生の苦を抜くのでもなく
彼らの覚が他者に与えられることもない
法性の真実を説くことで解脱させるのだ

これは諸仏が、この輪廻の世界から我々を救済するのは、ただ説法を通じてのみであることを語っている。

それゆえ仏教の実践とは、まず正しく仏法を口から口へと伝承している師から仏法を聴聞し、その意味を理解し、その意味されている通りに実践するということにほかならない。これが「聞・思・修」と呼ばれているものであり、チベット仏教の僧院とは輪廻から解脱するために決意し、出家した僧侶たちがこの聞思修に日夜励んでいる場所である。そのため一般の人々にとっても、その専門集団の祈りの方向へ自分の祈りを加える「祈りの場」ともなる。

チベット仏教最大宗派ゲルク派の総本山デプン・ゴマン学堂では約15年間に渡る伝統的な仏教教育プログラムに則って、学僧たちを教育している。最終的にこれらの学級を修了した者は、ゲシェー号(仏教博士)を取得し、各末寺などで布教師として仏教の講義をすることが出来るようになる。まさに仏教のプロフェッショナルを育成するための教育プログラムと言えよう。

ゴマン学堂で顕教の学習が修了したものは、ゲシェー学位を取得し、その後、ギュメー密教学堂・ギュトゥー密教学堂へと入り、密教の修行をする。密教の学習を終えたものは、再びゴマン学堂に戻り、講義をするか、末寺や支部へと赴き講師として弟子達の養成をする。


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