2023.06.11

法会期間

Y4A0358

ゴマン学堂では伝統的なチベットの問答法に基づいて、仏典のことばを自らの咀嚼して議論して、自分自身の思想とするために各種の問答法座や法要などを設けていることに特徴があります。

問答の学級

これらの学級に対応してどのような問答の学級が有るのかといえば、今日では以下の十五の問答の学級が置かれている。

  1. 仏教基礎学下級(བསྡུས་ཆུང་)
  2. 仏教基礎学上級(བསྡུས་ཆེན་)
  3. 証因論理学(རྟགས་རིགས་)
  4. 精神認証学(བློ་རིག་)
  5. 現観荘厳論七十義(དོན་བདུན་བཅུ་)
  6. 聖典初級(གཞུང་འོག་)
  7. 聖典上級(གཞུང་གོང་)
  8. 波羅蜜多学第一章(སྐབས་དང་པོ་་)
  9. 四禅と四無色(བསམ་གཟུགས་་)
  10. 波羅蜜多学第四章(སྐབས་བཞི་པ་)
  11. 中観学初級(དབུ་མ་གསར་བ་)
  12. 中観学上級(དབུ་མ་རྙིང་པ་)
  13. 倶舎学(མཛོད་)
  14. カーラム下級(བཀའ་རམས་འོག་)
  15. カーラム初級(བཀའ་རམས་གསར་བ་)
  16. カーラム学級内部(བཀའ་རམས་བོག་)

以上の十五学級が置かれている。カーラムの第2課程以降ゲシェー位が与えられる間には、下から上に順々に進級しなければならない。

定期試験について

14479711_1593887254247507_7980706070043616321_n

学僧たちは、毎年課せられる定期試験の期間に、それぞれの学級の課題の書籍を暗記しているかどうかの試験・問答の試験・筆記試験の他に、美文作文法・チベット語文語文法・仏教史などの筆記試験も課せられている。五大典籍それぞれの試験において100点を取った者に対しては「パルチンラプジャンパ」(波羅蜜多学を完全に学んだ者)とかそれぞれの学問の名前をつけて「……ラプジャンパ」という称号が与えられる。

このように十五年間の学堂の試験で優秀な成績を修めた者の中から何人かのものは、下級ゲシェーである「ゲシェードランパ」と「カチュパ」という学位を得ることが出来る。

上級ゲシェーである「ゲシェーハランパ」の学位を得ようと思うのならば、ゲルク派仏教吉祥文化保存協会(ゲルクルクサンチェーキョンツォクパ)の課す試験会場に赴いて、3大学問寺の学者たちとともに、カーラム学級を二年間修め、阿闍梨(ロッポン)学級を二年間修め、さらにハラム学級を二年間修めた上で、試験に合格し、合格証書を得た後に、ラデン・モンラムチェンモ(大祈願祭)の時に、ダライラマ法王から「ゲシェーハランパ」の学位を授かることが出来る。これ以外にもある人々はゲルク派仏教文化保存協会の試験会場に赴かないで、亡命政府の宗教省などから紹介されて、モンラムチェンモでゲシェーハランパの宣誓をする者も居るが、彼らにはゲルク派仏教吉祥文化保存協会が発行した合格証書は授与されることはない。

この後に密教の学習をしたいのならば、上級ゲシェーか下級ゲシェーかの宣誓命題が成就し、ゲシェー位を得た時点で、下密教学堂(ギュメー学堂)か上密教学堂(ギュトゥー学堂)に入り、試験などに合格したら、引き続き学堂に戻り学習を継続する。

本山ゴマン学堂では、後学の指導にあたりながら、僧院のさまざまな役職に就いたり、維那(ゲコー)・経頭(ウンゼー)・学堂長/管長(ケンポ)という三大役員として活躍する。

ガンデン僧院シャルツェ学堂法師やチャンツェ学堂法師などの役職に付く資格を得ることが出来る。その後に続けてゲルク派の最高責任者である、ガンデン金座座主(ガンデンティパ)となることさえもできるのである。

八大法会

デプン・ゴマン学堂は主として仏教を学習・研究する専門僧院であり、毎年の以下の八つの法会期間に問答法苑(チューダ)が開催されて、各学級の学僧たちは、その都度定められている課題について問答をしなくてはならない。

  1. 春初法会:チベット暦 2月3日より2月18日までの15日間
  2. 春大法会:チベット暦 3月3日より4月3日までの30日間
  3. 夏初法会:チベット暦 4月16日より5月6日までの20日間
  4. 夏大法会:チベット暦 5月16日より6月16日までの30日間
  5. 秋大法会:チベット暦 8月3日より9月3日までの30日間
  6. 白地法会:チベット暦 9月16日より10月8日までの15日間
  7. 五供法会:チベット暦 10月16日より11月1日までの30日間
  8. 冬大法会:チベット暦 11月16日より12月16日までの30日間

これらの期間開催される問答法苑は、午前9時より11時までの朝会と、午後7時より11時まで開催される夕会の二会よりなる。

までの間は仏教の普及のため、衆生の安楽のために、『白傘仏』・『八千頌般若経』・『獅子吼』などを読経する法要が行われ、ダライラマ法王の供養法要・ターラの数重法要などが執り行われる。すべての学僧たちはこの法要の直後から各学級に分かれて各自問答を開始しなくてはならない。それ以外の時間帯には、各自聖典を暗誦したり、師僧からの講読していただくための授業に参加する。

それ以外の各種行事

これ以外にチベット暦の正月には、セラ・デプン・ガンデンの三大学問僧院すべてにおいて行われる。

  • チベット暦2月5日はクンケン・ジャムヤンシェーパの供養日であり、この日にはクンケンジャムヤンシェーパの『秘密行状記』・『五部法行』・ダライラマ法王の法要・『学説規定本頌』『三種法事』などを読経する。
  • チベット暦3月18日は波羅蜜第四章徹夜論義大会が行われる。
  • チベット暦4月15日はサカダワの法要であり、『尊者供広養』・『ダライラマ五世の教え』・『勝者教無尽如意宝』・『釈尊行状』礼讃偈・『現観荘厳論』・『入中論』などを読誦する。
  • チベット暦4月16日は、各学級の学生たちが入り混じって学級の枠組みを超えた対抗問答会が開催される。
  • チベット暦5月1日より3日間、護法尊大黒天の消除供養会が行われる。
  • チベット暦5月5日にはネーチュンとガードンの特別供養法会が行われる。
  • チベット暦6月4日の転法輪祭には、釈尊の礼讃などの仏事や『現観荘厳論』『入中論』などが読経される。
  • チベット暦8月9日には、中観大祭であり『入中論』に関する徹夜問答大祭が行われる。
  • チベット暦8月11日12日には、護法尊大黒天の十万供養が2日間行われる。
  • チベット暦9月22日には、降臨大祭が行われる。『十二行状礼讃』などの釈尊の礼讃や『五部法行』や『現観荘厳論』『入中論』などが読経される。
  • チベット暦10月3日は、大黒天に対する大成就供養が行われる。
  • チベット暦10月25日には兜率五供養(ガンデンガチュー)の法要が催される。ジェリンポチェの礼讃供養・『ラマ供養儀軌』一次第・『ジェリンポチェの秘密行状記』やいくつかの祈願文などが読経される。
  • チベット暦11月18日は弥勒法徹夜問答会が行われる。
  • チベット暦12月18日は金剛瑜伽女の我生起成就法が行われる。
  • チベット暦12月10日は、勝楽怛特羅に関する成就法が修法される。
  • チベット暦12月21日から3日間は、五大聖典に関する徹夜論義が行われる。
  • チベット暦12月24日には、『量評釈』徹夜論義大会が行われる。

これ以外にも半年間毎月8日より30日までの二日間ターラの儀軌に関連したターラ供養の読経が行われ、護法尊殿においては毎日担当の僧侶たちによってマハーカーラ三尊などの慰霊供養と毎月9日より10日までの二日間養生供養とが行われている。チベット暦10月3日より七日間は広く守護尊一般のトルマ供養が行われ、それを補うものとして護摩供養も行われている。チベット暦10月10日ころより三日間毘沙門天の招財法要が行われ、チベット暦10月20日より獅子面母の開帳供養が三日間行われる。チベット暦12月の年末近くには養生大法要が一日間行われ、大晦日には養生法要の締めくくりをした上で、元旦の朝にはパルデンラモの長寿祈願の大法要が執り行われる。


RELATED POSTS