文殊師利大乗仏教会
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『水の教え』を読む
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『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第119回
澄んだ水にすべての影像は現れる
惛沈と掉挙との瑕疵のない禅定が 明晰な時に一切の功徳が示現する 瑠璃の鏡を綺麗に磨かれたように 澄んだ水にすべての影像は現れる 120 禅定とは、善なる意思が、ある対象に集中し継続的に留まっている状態のことである。これには世間の禅定・出世間
2020.09.09
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第121回
文殊菩薩の本体、智慧とは何か
すべてのものは空であると観て 輪廻の悲痛のすべてを取り除く すべての海水をアガスティアは 一気に呑み干し甘露へと変える 121 一般的に智慧とは、考察している対象の本質を正しく弁別し、行うべきことと廃止するべきことを正しく弁別できる理解する
2020.09.10
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第122回
龍樹が開いた甚深なる思想とは、底知れない海のようなものである
龍樹の広大な智慧の大海は 実在論者の慢心を奪うだろう 深淵にして底知れない海が 童子たちを慄かせるように 122 龍樹(ナーガールジュナ)は、般若経を龍宮から再び地上に招来し、般若経が直接表現する甚深空の意味を明らかにし、『根本中論』などの
2020.09.11
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第123回
巨大な迷路の街から抜け出すため
甚深の実義を分析するために はじめに否定対象を確定する必要がある 海へ行って宝石を採取しようとする時に どんな危険があるかを知るのは大切である 123 いつの間にか巨大な迷路の街に迷い込んでいる。その街にいると最初は楽しい芝居が催されていた
2020.09.14
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第124回
どんな大きな河も小さな水流が集まったものである
仮設の基体たる蘊等の集合を 私だと思い込み迷乱している 大河は元から分かれて見えるが 本来小さな支流の集積なのである 124 空性それ自体を理解すること極めて困難であるが、空性において否定されるべき否定対象を確認することはできるし、それがな
2020.09.15
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第125回
「私」はこの物語の主人公ではなく、劇作家である
名指された対象を正理で解析すると それ自体で成立するものは何も無い 百の渓谷を巡り流れる川でさえ 果てには水滴ほども無くなるように 125 「これは私である。これは私のものである。」この二つの意識からすべての利己的な思考が形成されていく。私
2020.09.16
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第126回
川の畔を散策し、海へと思いを巡らせる
釈尊が説かれたすべては 空と縁起 ここへ向かう 地上の川のそのすべては 大海へと流れ込んでいく 126 仏教の根本思想は、縁起と空にあり、空や無我とは我々が無始以来「私」と思うこの我見が思い込んでいるその対象が存在しない、という無我を主張し
2020.09.17
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第127回
ちゃんとした立派な大人になるために
自分の心を変革する菩薩は 四摂事によって所化を育てていく 海を訪れたことがある船頭は 他人を連れて財宝へと導いていく 127 一切衆生を利益するために仏位を目指す菩薩たちは、菩提心を起こした時点から「如来の御子息」と呼ばれ、六波羅蜜を通じて
2020.09.19
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第128回
彼岸色の夕暮れに、航海への旅支度を思う
因たる乗の道程は長くとも 秘密真言の方便で速く行く 平地で動かし難い大船も 海に入れば遠くへ行ける 128 本日はちょうど秋分で御彼岸である。本日の夕陽は天空を赤く染め、雲間に隠れるように真西へと沈んでいく。この太陽は決して明日昇ってこない
2020.09.22
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第129回
機密保持と暗号化は、すべての人の安心と安全を保証するためのものである
持金剛によって善く説かれた 秘密真言の力は不可思議である ガンガーと呼ぶだけでも 神の河を引き寄せられる 129 果金剛乗は秘密真言乗とも呼ばれ、この実践とは無関係な者には決して開示することない機密事項を秘匿した状態を保持しながら、通常私た
2020.09.24
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第130回
ダイヤモンドの価値を忘れてはいけない
双入という龍王の大国である 金剛乗という大海を目指している そこへと架けられているこの桟橋 四灌頂 これは宝石の梯子である 130 仏教とは、釈尊から伝わることばの襷でもある。この襷は遠く海の向こうのインドから、ひとりひとりと渡されてきたも
2020.09.27
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第131回
未来のために自己批判と懺悔を繰り返す
とはいえ二種の悉地というものが 拠って立つ場は三昧耶の護持である 海水のすべてが渇れてしまうなら 波の紋様はどこから起こるだろう 131 無常瑜伽タントラの二次第のうち、生起次第を究竟した時、空を飛行可能になったり、一劫の間寿命が尽きなくな
2020.09.29
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第132回
事実と向き合う人たちの善意の贈り物
真実を知っている瑜伽行者は 慾望を享受しても執着しない 魚は深い水のなかに泳いでも 水害に晒されることなどない 132 真実である空性や無我を理解している瑜伽行者は、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識の五根による認識が対象とする色処・声処・香処・
2020.09.30
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第133回
煩悩を道へと転換し、煩悩を制圧するということ
貪等の煩悩という禍いを 煩悩を道として制圧する 耳に詰まった水は洗浄し 火傷は焼灼して治療する 133 私たちは煩悩に振り回されて生きている。今日は私は何をしよう。明日のために私には何ができるのか。これをしたらこうなるだろう。これをしなけれ
2020.10.02
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第134回
いまのままの私をはじめからやり直してみる
微粗の生起次第の瑜伽により 生死と中有の三つを浄化する バギーラタの捧げた供物が サガラの王子たちを浄化する 134 夜が明ける時、東の天空は曙色に染まりながら、再び巨大な太陽が昇ってくる。地球上のすべての出来事は、またはじまり、太陽氏の物
2020.10.05
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第135回
歓喜の光がもつ質を感じられる時
四歓喜の倶生の大楽で 四空の智慧は増大する 四つの大河が流れ込み 馬面山の火は燃え盛る 135 歓喜・最勝歓喜・殊勝歓喜・倶生歓喜という四種の歓喜よりなる大楽によって、対象が無自性である空・甚空・大空・一切空光明という四空よりなる智慧を発展
2020.10.06
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第136回
澄明な水に泡がたつように
微細な原初の風と心から 幻の如き身体で起き上がる 澄明な水に泡がたつように 天空から河が流れるように 136 私たちは今日の自然科学や工業技術の発展のおかげで、これまで実際に眼にすることができなかった様々な現実の現象が可能なことを知れるよう
2020.10.07
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第137回
水滴への眼差し、静寂のなかの残響
ひとつひとつの草葉の露へ ひとつひとつ月影は現れる ひとつひとつ喩えてゆくことで 輪廻と涅槃のすべては表現できる 137 私たちは住んでいるこの地球の七割は水で覆われており、人体の六割は水分でできていると言われている。この体は脆く壊れやすく
2020.10.08
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第138回
尽きない水の惑星に棲んでいる
世間の気高い営為から 顕密の道次第にいたるまで ひとつもので喩えたこの表現は 善き物語が化現した大海である 138 空の青さを追いかけて、浜辺に座り、水平線をみつめる人がいる。あるいは、山を降りてきて、海辺へと行き、向こう岸の島があることを
2020.10.09
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第139回
女神の歌を伝える渡鳥たちは舞いあがる
恵み巡らす海は輪となって 遊び戯れる雁は歌を奏でてる 妙なる善きこの詞が波をたて その調べで何もかもが舞うだろう 139 水の通り道には、龍たちが移動し、水のあるところには智慧を本体とする女尊たる弁才天が出現する。弁才天は琵琶で美しい音楽を
2020.10.10
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