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『水の教え』を読む
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『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第40回
荒ぶれ者に批判される者にならないために
荒ぶれ者にすら批判される者を 賢者たちが信頼することはない 水面の月に惑わされた雁は 昼でも蓮根を食べようとしない 40 素行が不良な人たちにも批判されるような素行の悪い者がいる。たとえば暴力団の幹部たちからみた街のチンピラやポン引きなどが
2020.05.04
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第41回
仏教とは先天的な犯罪者のための再犯防止を目指した更生保護プログラムである
犯罪者はたとえ更生しても 僅かなことで再犯してしまう 小さな流れがどんなに変わろうとも 元の大きな流れへと戻っていくように 41 本偈は悪業からの更生が如何に困難であるかを説くものである。悪業・罪業と犯罪や違法行為は若干質的には異なっている
2020.05.05
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第42回
すべての心は澄明な清流のように発光し生命の恵みをもたらしている
賢者は身分の上下や貧富など どんな境涯でも本性は変わらない 河は流れる場所で寒暖があろうとも 湿って濡れた本性を何故捨てようか 42 人が境涯というものには、さまざまな変化がある。時には特権階級や地位が高くなることもあるが、冷遇され、地位が
2020.05.06
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第43回
教法を薫習するサフランの芳香
強烈な命令を発するより 懇願する方が制御しやすい 衣の匂いを落とすよりも 馨れる水で変える方がよい 43 行動変容のために、都市封鎖し、完全に自宅待機をさせている国も多いことは確かであるが、日本では基本的には自粛要請によって、現在感染拡大の
2020.05.07
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第44回
灰色にたちこめる気嵐から川を知る
生物の心の内の功徳や過失は 外側に表れた所作から推察できる 灰色にたちこめる気嵐から川を知り 煙によって火があると判るように 44 他人の心のなかを覗いてみることはできないが、他人の心のなかに良い性質があたり、悪い性質があることは、それが行
2020.05.08
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第45回
湖は星や月を輝かせて見せてくれるが自らの底を見せはしない
他者の功徳や過失は見えやすい しかし自己の所作は見えにくい 湖のなかに空の星や月のすべてが 輝いているがそれ自体の底は見えない 45 ディグナーガとダルマキールティが大成した、仏教の認識論・論理学によれば、正しい認識(量)は二種類しかなく、
2020.05.09
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第46回
どんなに曲がった河でも下流へ流れるだけである
悪意のある謀略の活動は 進捗は早いようだが破滅に至る 河川はどんなに彎曲し流れても 下流へと流れていくしかないように 46 悪意のある謀略計画は、同様な悪意をもつ者の支援を受けることや実行しやすいことなどが理由となり、その活動計画の進捗も早
2020.05.10
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第47回
濁った水という凶兆は、水が枯渇してしまう警鐘であるが、それでも未来を変えることは決して不可能ではない
家系を断絶させるため放蕩息子は生まれ 福徳を断絶させるため悪意は顕在化する 自らを破滅させるため知性は凶暴化する 水源を枯渇させるため濁った水が増える 47 これは凶兆がどのように起こるのか、というものを説いている。どんなに素晴らしい家系が
2020.05.11
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第48回
牡丹は名誉を蓮に奪われるとも、牡丹も蓮も微動だにしない
愚かな者がいくら苦心し実現しても その名誉は狡い者に奪われてしまう 山が生み出した蓮の華もまた 生まれた名誉を水に奪われている 48 仏教において蓮の花は、釈尊が泥のなかから生まれて美しい純白の花を咲かせることから仏法の象徴として貴重な花で
2020.05.12
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第49回
空虚な言葉を数量的・音量的に増幅させても何も起こらない
教証の功徳を持たなくても 賢者の名声で人は欺かれている 栄養もない霧雨をもたらす雲が 龍のような雷鳴の声をあげるように 49 ダライ・ラマ法王が繰り返し語られていることに、我々が釈尊の弟子であり、チベットの仏教にしても、中国・日本の仏教にし
2020.05.13
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第50回
世界が破滅へと向かうとき、似非学問や詐欺師たちが蔓延する
濁世に現れる一切智者を自称する者は 修行してみると凡人よりもはるかに鈍い 天然の温泉水がどんなに熱くても 沸騰させると冷水よりも後となる 50 仏教では、人類の平均寿命は八万四千歳から十歳までへと落ち込んでゆくと伝えられている。これを「命濁
2020.05.14
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第51回
仏教の業報思想に基づく慈悲心は、人種差別だけでなく、生物種の差別をも禁じるものである
口先だけの説法者たち 彼らは旃陀羅よりも心が貧しい 冬に立ち込める濃霧のように 闇に覆われ暗く一層凍ついている 51 古代のインドでは、人種(jāti)を宗教者(brāhmaṇa 婆羅門)・権力者(kṣatriya 刹帝利)・市民(vaiś
2020.05.15
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第52回
雨が降るのを待つ郭公のような時の過ごし方
勝れた人は弱く無力でも 法に反した業を為すことはない 雨を待つ郭公は喉が乾こうと 地面の水を飲もうとはしはない 52 毎日一偈ずつ翻訳していたが、すこし配信のペースが滞っている。以前、新聞記者の友人に毎日記事を短い記事だけを書くのは楽でいい
2020.05.16
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第53回
欲望を克服するため、戒律を護持する僧集の佇いは美しい
善行へ励もうとすることと 淫行は矛盾した行為である 花を咲かせたいと思いながら 温泉の中に投げ込んでどうなろう 53 仏教は煩悩を克服し、輪廻への再生を停止させ、常楽の解脱の境地を実現する宗教である。しかるに如何なる欲望であろうとも、煩悩で
2020.05.17
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第54回
私たちに見えている現象は、必ずしも客観的事実ではない
勝れた者はしばし弱っていても また再び威光を放つものである 凍りつき洞穴に入った河もまた 春の陽気で次第に流れ出すように 54 「私や私と同じように人のことを量るべきなのであり、人によって人を量るべきではない。破滅に至ってしまうからである。
2020.05.18
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第55回
悲劇的な運命を分析し、真の楽観主義を獲得するために
知性も努力も乏しき人は 福徳を得るとも翳りがでる 流れ込む水が断たれては 池の水もすぐに枯れてしまう 55 錬金術によって水銀を黄金に変化させるためには、哲学者の石、あるいは賢者の石と呼ばれるものが必要であるとされているように、哲学と求道的
2020.05.19
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第56回
楽しく海で泳ぐためには、まずは泳ぐ練習をした方が無難である
財宝もない人々が宝飾や美食をもとめてる 聖典を学びもせず学者の任務についている 泳ぐこともできない人は海で泳ごうとして 分かりきってるのに自らを溺れさせている 56 博物館や美術館に行くと古代の王族たちの大変な財宝を見学することができる。現
2020.05.20
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第57回
海の水は果てしなくあるが、私たちの存在には限りがある
どんなに広く権威が及ぶとも 得られる福徳には限度がある 海を自分の池に注いでも 限度を超えると溢れ出す 57 私たちは無限の過去から様々な業を積んでいるので、その業がある時期に結果を生み出すための総体となって、様々な結果を享受することができ
2020.05.21
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第58回
堤の上を歩くことができる羊たちの群れ
いまだ大事に至っていない時 順次対策を講じておくとよい 堤防は先に作っておかなけば 増水した時に放流させがたい 58 十四世紀後半に活躍したジェ・ツォンカパは、自らを諸国周遊の徒であると述べているように、彼が修行した様々な僧院や招かれた様々
2020.05.22
『水の教え・波打つ数の二つの教え』を読む・第59回
雑事に追われて自滅するより、のんびり賢く生きた方が楽しい
無意味な仕事に追われてしまい 自ら力を失うとも勇者とは言われない 水のなかに移った自分の姿に敵対し 飛び込んで死んだ獅子と同じである 59 権力者はその権力を維持するために、無駄な仕事に忙殺され、重要な仕事に取り組んでいければ、その権力は次
2020.05.23
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