2012.05.17

もてなしの心

「世界中で一番、客人をよくもてなすのはチベット人じゃないかな」

とチベット人の友人。

「何も自分がチベット人だからそう言うんじゃない。自分の見てきた国と比べて、そう思うんだ。チベット人は家に客人がきたら誰でも歓迎して迎えいれるよ。僕は15歳の時、インドに行こうと思って、いろんなチベットの地を渡り歩いたんだ。お金はなかったけど、どこに行ってもチベットの人に食べ物を恵んでもらった。お金はくれなかったけど、食べ物はいつでも施してくれたよ」

お金を持たず旅をしようとするなんて、なんと無謀な!と思ってしまいますが、チベットではそんなことが可能なようです。ラサまで巡礼に行って、帰りは旅費がつきて物乞いしながら帰ったという話も聞きます。

そういえば、ゲンチャンパも、

「チベットを旅するなら、お椀だけ持っていればいい。食料が無くなったら、お椀を出してツァンパを乞えば大丈夫だ」

と以前、どこか誇らしげに話しておられました。チベットの人たちは、施す気持ちというか、相互補助の気持ちが強いのでしょうか?

ゲンギャウさんが故郷に帰られる時は、お弟子さんたちのお家を渡り歩いていかれるそうです。何も持たず、それこそ着の身着のままな旅。それを許してくれる豊かさが、チベットにはあるのでしょう。

ただ、それでも、

「昔はそうだったけれど、最近では少し難しいかもしれないね。特に都会では、そういった客人をもてなす習慣が薄れてきていると思います」

とゲンギャウさん。

資本主義の波が押し寄せ、お金はなくては何事も動かなくなってしまった現代。何事も変化することから免れ得ないにしても、その速度が少し急激すぎるような気がします。

DSCF3156-300x225いっぱいのご飯でおもてなし


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