日本は今、震災のために大混乱しています。しかし、チベット本土も非常に厳しい状態が続いています。先日はアムドのキルティ寺院で僧侶がチベットの自由を求めて焼身自殺をしました。それを受けて、アムド地域の寺院では警察の締め付けが一層厳しくなっているようです。
しかし、そんな状況にも関わらず、アムドの寺院でも日本の地震で亡くなられた方々のため法要を行ってくださっているようです。一方、インドの亡命寺院ではダライ・ラマ法王の呼びかけに呼応し、日本で災害に被災された人々のために朝から晩まで般若心経を唱えてくださっています。自分たちも苦しい状況であるにも関わらず、他者のために祈りを捧げる僧侶の方たち。その姿に心が温かくなります。
昨日からゲンチャンパとアボさんは、ボランティアとして被災地に送る荷物の仕分けを手伝いに行っておられます。朝8時から夜の6時まで、昼食とお茶以外は殆ど休みなく、もくもくと仕事に従事されました。どうでしたか?とアボさんに感想を聞くと、
「日本の人はほんとに働きものです。とてもきっちりと仕事をされますよ。ただ、ちょっと疲れました」
とのお答えが。
チベットの人たちは普通、のんびり休み休み仕事をされます。お茶を飲んで仕事をして、話をしてお茶を飲んで仕事をして。仕事をしてるのかお茶を飲んでるのかよくわからないそのサイクルに慣れていると、日本人の仕事の仕方では疲れてしまうことと思います。そうでなくても、朝早くから夜までの仕事ですので、疲れが出るのも当然のことだと思います。それでも、
「でも、よかったです」
と、嬉しそうな笑顔で話してくださいました。
地震が起こってからこの方、日夜テレビで映し出される被災地の悲惨な状況を見ながら、なす術もなく心に悔しさをもちながら日々お祈りをしておられました。そのことを思うと、少しでも自分の身体を動かして、被災地の人々のためになることを出来たことがきっと嬉しかったのでしょう。
祈りの力。
実を言うと、私は祈ることの意味というか効果がわかりませんでした。今でももしかするとよくわかっていないのかもしれません。それでも、祈りは人の心を強くしてくれると、今回の災害で感じました。
今週末、東京の護国寺で特別法要が執り行われます。また龍蔵院では、先月の定例法話会に引き続きゲンチャンパに般若心経を講義していただき、一緒に般若心経を唱える予定にしています。
どうか、一人でも多くの人の祈りが、東日本大震災で被害を受けた人たちに届きますように。