2025.04.22

デプン・ゴマン学堂2024年度年次報告書(1)僧脈と修学の現況

第17期デプン・ゴマン学堂の寺務局運営委員/訳・日本事務局

このたび第17期デプン・ゴマン学堂の寺務局は、2024年4月1日より開始した第2年度を終了しました。本年度も、本学管長、前管長諸猊下、上座の古参老師、会衆の諸師はご健勝に過ごされ、釈尊の教宝たる三蔵を講釈され、僧侶たちは聞法と三学処の実践に励み、三輪業に殊勝に励み、仏法興隆に努めています。

以下、去る4月13日・14日の総会で承認された第17期デプン・ゴマン学堂運営委員による報告書に基づいて本年度の主要な現況をご報告申し上げます。

1.      僧脈の現況

本年度、本学堂に正規な僧侶として在籍登録されている総数は5,718名(前年比101名増)となりました。本年度に新規に本学堂の僧脈へと参入した僧数は、計101名となりました。内訳としては、チベット本土から3名、ラダックから2名、ザンスカールから10名、ヌブラから7名、ネパールから5名、ブータンから4名、アルナチャールから12名、モンゴルから12名、カルムキアから2名、ブリヤートから1名、トゥーバから2名、その他のインド各地より36名、その他5名が新たに本学堂の僧脈へと参入しました。

本年度の各学寮からの在籍僧の居住状況報告を合算すると現在の本学堂に在住する学僧総数は1,622名(前年度より103名減)となりました。この総数には、インド国籍の者やモンゴルやロシア国籍の者も含まれますが、チベット難民居留にて難民登録のあるチベット難民僧侶としては、全体の約39.3%、計638名が在籍しております。

ゴマン学堂に新規に参入した僧侶たちはゴマン学堂附属学校にてチベット文字の読み方から学んでゆく

2.      修学現況

本年度も例年通り四大法会期での問答法苑、学級対抗の問答法戦大会、深夜に行われ獲特定のトピックでの問答大会といった大小の法会期に応じ、問答法苑を開催しました。本年度参加した学僧数の仔細は以下の通りとなります。

本年度の本学堂の年末試験受験者は総数713名(前年度より34名減)となりました。本学堂附属学校での期末試験受験者は総数310名(前年度より36名増)となりました。本学堂附属学校は、インド全土ならびにチベット亡命政権の文部省の定める初等課程5年間、中等課程3年間の教育を行なっており、僧侶としての教育を行うために本学堂の伝統教学に基づいて学生たちを育成すると同時に在俗の子供たちと同じ教育の機会を提供しています。

またゲシェー位を取得するために三大総本山共同運営のゲルク派共通試験を受験中の学僧は241名(前年異同なし)となりました。そのうち本年度のゲシェー・ラランパ位を取得した者は37名、ツォクランパ位を取得した者は5名、チュパ位を取得した者は12名、ドランパ位を取得した者は5名となり、本年度は本学堂から合計59名(前年度より1名減)のゲシェー位の取得者を輩出しました。このゲシェー位の取得者数は昨年と同様に史上最多規模となり、素晴らしい成果を出すことができました。

本年度のゲシェー位の取得者の披露・謝恩式

上記の各試験の結果での成績優秀者のうち主席・次席の僧侶には、2024年12月7日午後本学堂管長ならびに僧衆一同列席のもと表彰状・記念品が授与されました。本年度は学堂長からの提案を受け、これらの僧侶への賞金も増額することが可能となりました。

また本年度のジャン冬法会(ジャン・グンチュー)へ出仕した者は有志409名となり、そのほかの、ゲルク派共通試験受験者の有志148名(本学堂からの受験者数の約62%にあたる)がセラ大僧院で開催された龍樹の正理六論集・弥勒五法の論議大会をはじめとする三大僧院の共通大会へ参加し、伝統教学の研鑽することとなりました。

また本学堂でも例年通りチベット暦12月に開催される三日間『量評釈』に関する討論会(本年度は後半2章)を開催し、2020年に新設された密教学級に在籍する僧侶は、2025年3月18日から20日まで第15回秘密真言乗論議大会へ参加することとなりました。真言密教学級(三学級)では本年度40名のゲシェーが新規に進級し、下部怛特羅学級40名、生起次第学級29名、究竟次第学級23名の僧侶の合計92名のゲシェーが、真言密教の修了試験を受験しました。

本年度のゲシェーの学位を取得した者たちは『量評釈』の問答大会で学堂の僧侶全員からの問答の答論者として活躍しました

また伝統教学課程以外では、本年度の自然科学学級の期末試験受験者は118名、自然科学学級の最終4年次の修了者は30名、国語(チベット語)は21名、英語は18名、漢語は3名、特別補修クラスのうち一年次22名、二年次45名、三年次85名、四年次84名、伝統教学課程以外の一般教育課程の受験者は計236名(前年比69名増)となりました。

また本年度にギュメー密教学堂へと出仕したゲシェー・ラランパ22名、ツォクランパ1名、カチュパ9名の合計32名が出仕しました。またギュトゥー密教学堂へは、ゲシェー・ラランパ12名、ツォクランパ3名、カチュパ3名の合計16名が出仕しました。またダライ・ラマ法王から比丘の具足戒を授戒するためにタシルンポ大僧院やダラムサラへと出仕したものは、合計50名となり、授戒希望者をダライ・ラマ法王庁へと提出し新たに比丘となることとなりました。

また上記の本学堂の仏典講伝の教授陣17名をはじめ、寺務局ならびに関連部局などを含む本学堂の各種役職を担当する役僧は、計279名(在家の通勤者を除く)となります。また本学堂附設の喫茶所・食堂の担当者は14名の僧侶が3ヶ月交代で運営し、本学堂の僧侶全員に支給される給食に関しては管理委員4名、調理担当12名が1ヶ月交代で運営しております。これらの収支は寺務局の通常収支に計上されています。

(次回に続く)


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