2025年1月7日（火）午前9時5分、チベットのトゥー地方シガツェ近郊のディンリ、ラツェ、サキャとった場所にて非常にマグニチュード7.1を計測した、強い地震が発生し（USGS発表[1]）、少なくとも死者126名、負傷者188名、3609戸の家屋が倒壊し、などの被害があったとされています。被害状況の詳細については随時報道機関などで発表されておりますが、大規模な地震があり大きな被害がありました。
現在南インドのタシルンポ僧院（カルナタカ州ビラクッペ）にご滞在中のダライ・ラマ法王猊下は、昨日2025年1月9日（木）に開催された震災の犠牲者への追悼法要に参列され、そもそも自然災害というのは人災ではないので、誰か特定の人を恨んだりする必要がないこと、信仰心をもたない人であれば悲歎にくれ絶望することもあるかも知れないが、観音菩薩の所化とも言われているチベットの人々であれば、このような自然災害という逆縁を順縁へ転化して、更に一層菩提心や空観の修習に励むための好機であると捉えるのが望ましい、という旨のお言葉を発せられた。
このたびの地震では、ダライ・ラマ法王猊下だけではなく、カギュ派のギャルワ・カルマパ、サキャ派のサキャ・ティズィンをはじめ、チベットの伝統仏教の多くの指導者たちがお見舞いのメッセージを発しているだけではなく、チベット本土のデプン大僧院、セラ大僧院などでも僧侶たち全員が災害支援金を募金し、各地で被災者のために『普賢行願讃』をはじめとする八種祈願などを読誦し、追悼法要を行なっています。また家屋が倒壊してしまった人々のために毛布やテントなどの救援物資も多くを集積し、それを輸送するためのトラックを有志で準備をするなど、仏教の精神文化に基づいて互助の精神でこうした災害を乗り越えようとする様々な活動がなされています。
南インドでは、現在セラ大僧院では龍樹造「正理六聚」および弥勒五法に関する冬季問答大会が、ガンデン大僧院でも論理学に関する冬季問答大会が開催されており、参加している大変多くの学僧たちが一丸となって追悼祈願ならびに厄災息災の法要を行なっただけではなく、デプン大僧院ならびにデプン・ゴマン学堂でも昨日1月9日（木）にそれらの問答大会には参加していない僧侶たちが参集し、八種祈願法・観音菩薩真言念誦法などの修法を行いました。
このたびの地震の発生に関しまして、多くの方々から事務局にもご心配をいただきご連絡を頂きました。事務局では翌日より日本別院で追善のための灯明供養を行なっておりますが、現在はゴマン学堂の僧侶のみなさまもインドに帰られておられるため、特に法要などはございません。関係各位のみなさまにおかせられましては、法王猊下のお言葉にもありますように「逆縁を順縁・善資積集の機会へ転化する」ために『般若心経』『観音経』『普賢行願讃』『阿弥陀経』などや、観音菩薩の御真言である「オンマニペメフン」「おんあろりきゃそわか」などをご自身でも唱えていただけますようお願い申し上げます。
また昨年末よりはダライ・ラマ法王猊下の御宝号の真言念誦のキャンペーンも行なっております。そちらも是非とも前向きにご検討いただけますようお願い申し上げます。このたびはご心配いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
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燈明を灯す習慣は、釈尊ご在世よりも前から存在しているもので三世の如来たちも、最初は私たちと同じように燈明で供養することの意味もあまり分からない時から燈明供養で福徳を積まれてこられました。日本別院では、チベット・日本の顕密の仏教の交流拠点として、その灯火が決して途絶えないよう燈明供養を行いつづけています。『律分別』や『仏説大乗施燈功徳経』などの数多くの仏典によれば、三世十方の如来たちも凡夫の時から三世十方の如来に献灯して以下のような功徳を得ていったというご利益があります。
- 現世利益：今世で邪見の原因を払拭し、病災などの逆縁が鎮まるようになる。
- 臨終利益：死に近づくにつれ、今世への執着に惑わされずすべての現象が日月の如く清浄に輝き、財産や遺族などに執着してしまわずに、本尊の姿を直視できるようになる。
- 来世利益：転輪聖王などの最勝なる人身を得て、美しく荘厳で長寿な身体と楽受を得ることができる。
- 究竟利益：無辺の一切衆生を利益できる無上正等覚たる仏位を成就できるようになる。
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