三世一切の諸仏を本性とする
正しい取捨を示される法の蔵
三乗の僧衆が戴く宝冠の荘厳
至尊諸師の膝下へと請願せん
顛倒した分別はすべて寂滅し
心は法に向くよう加持し給え
授戒する者は多いが護る者は稀有である
学処を聞く者は多いが学ぶ者は稀である
利他は難行であるけれども浄信の弟子が
繰り返し求めてくる姿勢は無視できない
心掛けの学処の要を取り敢えず述べておこう
どんな所業でも業果を審判としなさい
どんな苦楽でも三宝と向き合いなさい
すべての仏典からは菩提道の次第を
すべての修行からは持戒を基とする
これが教法すべてに通じる学習法である
このことを忘れずに心掛けるがよい
明け方に目覚めた時 昨晩は辛うじて
死なずに起きられたのは三宝の御蔭である
もしいま地獄にいるなら何事も成せぬだろう
今日こそは仏法により有意義に過ごすべきである
これが一日をはじめるための決意の方法である
このことを忘れずに心掛けるがよい
乞食を行じる時 利害の保証も無いままなら
熱い鉄の塊のようであると勝者は説かれている
沙門への施食法 十種の想念
菩薩の利行 真言呪の護摩法
これが食事をする際の瑜伽法である
このことを忘れずに心掛けるがよい
衣服は過剰な好悪の辺へ堕してはならない
適切な素材など着用作法に則るべきである
体内におられる師本尊へ供えんと廻向して
資糧を円満とし罪障を浄化するためである
これが衣住等を行じる時の作法なのである
このことを忘れずに心掛けるがよい
ひとりでいても身の放逸を断つべきであり
衆中にいる時は ことばの損得を勘定する
どんな時でも自らの心を更生せんとする
三門のすべての営みを如法なものとする
これが正知正念を修めてゆく行法である
このことを忘れずに心掛けるがよい
親しい者たちでも執着すべきではなく
敵対する者でも過度に嫌うべきではない
新参者 大人物 いつかは役立つ人
厄介者 多勢 彼らに流されてはならない
これが世間の品位を保った行法なのである
このことを忘れずに心掛けるがよい
目的もなく罪業の場に行かぬようにする
行く時でも落ち着いて持戒し放逸しない
極楽など浄土世界へと行かんと決意して
その志が固めるようにと修めていく
これが長期的・短期的な目的なのである
このことを忘れずに心掛けるがよい
愉しくとも奢らずに三宝の恩恵とする
辛い時でも愚痴らずに自業自得と思う
褒められても歓ばず福徳の減少とする
貶されても怒らずに罪業の浄化とする
これが八風に流さぬための教えである
このことを忘れずに心掛けるがよい
眠る時 本日は善悪の出来事を振り返る
善業が多ければ自らを歓喜して満悦する
悪業が多ければ自らを後悔して落胆する
悔改して翌日まで持ち越さぬようにする
これが罪犯を浄める最勝の方法なのである
このことを忘れずに心掛けるがよい
正しい善友は宝冠の荘厳とし戴く
如法の法友とは影の如く親交する
罪業の悪友や悪行を行う輩たちなど
悪魔の微笑 猛毒のようだと廃棄する
これがすべての実践のはじまりである
このことを忘れずに心掛けるがよい
法矩の妙薬の名称を知るだけでは
煩悩の重度の症状は回避できない
知識を自身の心の営みと関連させ
菩提の道へと必ず転換させなさい
後ろの耳に流れる単なる飾りと捉えずに
幸ある者よ 自分自身の手に取るがよい
本編はハルハの大クレー(モンゴル・ウランバートル)の篤信の僧形者ロサン・リクドルの依頼により、沙門クンチョク・テンペー・ドンメが取り急ぎ編んだものであり、書記ガランパ・クンチョク・クンガーが記した。サルヴァマンガラム。