2024.08.24

仏像から仏宝の所依へ変えてゆく

チベットやネパールの仏像では鋳造したものや手作りで彫金したものが有名ですが、それらの仏像の体内には正式にはそこに納めるべき陀羅尼経典などが入っています。仏像などを売買していいのは、この作業を行なっていないただの物質としての仏像ですが、仏像のなかに陀羅尼経典を入れて、正式な儀式を行い、仏像を仏そのものへと変化させた後には売買されることは禁止されていますし、決して粗末に扱ってはいけません。

通常チベット仏教文化圏では、仏像に陀羅尼経典を入れるのはそのやり方を知っている僧侶の方々に依頼します。というのも、普通の人では出来ない儀式が様々にあるからです。また在家の人々がそれをお手伝いするのに際しても当日は肉食をやめ潔斎して真言を唱えながら行わなければならない、などの厳しい規定があります。

大本山大聖院で弥勒堂を建立していた時には、弥勒菩薩の仏像も現在の人間の2倍の高さの仏像を造営しましたので、デプン・ゴマン学堂から来てくださった僧侶のみなさまが半年くらいかけてこの作業を行いました。

日本別院では時々この作業を依頼されることがありますが、昨年末にゴペル・リンポチェにそのような依頼がありました。リンポチェは高僧ですので、こういった作業は通常は行われることもなく、このたび生まれて初めて実際に自分の手でやってみることになりました。

そこでまずリンポチェは今年1月、2月と本山に戻られた時に専門の僧侶たちからやり方を伝授して頂き、このたび陀羅尼経典を入れる吉日を定め、人生初のご経験の陀羅尼経典を入れる作業をなさりました。人生初のご経験ということなので、記念に写真を撮ろうということになり、写真を撮りましたのでご紹介します。

現在は最終的に銅版の蓋をして接着剤などで外に出てこないようにして、開眼善住法要のために乾燥させてあります。十分な乾燥が終わり次第、開眼善住法要を行いますので次回のレポートをお待ちください。

陀羅尼経典は強靭な力で線香を中心に一本ずつ丸めてあり、サフランで塗装し衣も着せてあります。
まずは人間でいえば背骨にあたる仏像の「命の樹」というものの長さなどを調整します
陀羅尼経典をいれても隙間があるので香草や薬や宝石などで間を埋めます
中に空洞ができないよう力いっぱい押しています
蓋をする前になめらかにならしています
蓋をするまえに何枚かの曼荼羅を重ねたものを底の部分に配置しています。

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