2024.08.10

平和の灯火・心の灯火

今週の月曜からはチベット暦の閏の6月で先月に続いて今月も6月です。チベット暦では閏月というものがありますので、来年の正月元日は2月末となり、所謂旧暦よりも大分遅くなりますが、今年はこのため十三ヶ月も功徳を積むべき日があります。火曜の8月6日は広島に人類ではじめて原子爆弾が投下された日でした。夜明け前から夜半まで広島では様々な祈りの行事が続き、人手も多いため、リンポチェは日本別院で静かにお祈りを行っておられました。

如来・菩薩・本尊・護法尊・八百万の神々に捧げる燻浄供養の火
燻浄する諸天をお招きし、印を結んで燈明供をされるゴペル・リンポチェ

翌7日水曜はチベット暦の水曜日でしたので、日本別院では如来・菩薩・本尊・護法尊をはじめとする八百万の神々に焼香供養が行われました。焼香供養(サンソル)の際には換気がかなり重要です。焼香供養ではあらゆる神々を清浄なる狼煙をあげてお迎えしますので、香り高い煙は大量に発生しないといけませんが、同時に火事であると近隣の住民の方々に心配されない程度の煙の量をコントロールするのもなかなか至難の技です。このためお勤めは二階の仏間で行い、一階は煙だらけになり、縁側から天空に向かって狼煙をあげますが、今回は薪の具合が良すぎたため、一階は夕方まで一酸化炭素中毒になりそうなくらい煙で充満していました。

世界平和をお祈りすることの大切さを説かれるゴペル・リンポチェ

翌8日は毎月の宮島大聖院での弥勒菩薩の祈願を行う日です。35度を超える猛暑ですが、宮島行きのフェリーや海岸沿いの参道はさすがに海風があり、多少涼しさを味わうことができます。今月は広島・長崎の原爆犠牲者の慰霊の日も近いため、『現観荘厳論』だけではなく、亡くなられた方々の安寧を願い、華厳経普賢行願讃をはじめ八種祈願法なども修法されることとなりました。お参りの方々から世界平和の祈願をとのご依頼もありましたので、リンポチェからも世界平和のためには、私利私欲の自利を追求するのではなく、世界全体が平和で幸福となるという利他の願いをもつことの大切さについてお話しがありました。

昨日9日長崎原爆犠牲者の慰霊の日でもあったため、平和記念公園に行き、久しぶりに先ずは平和記念資料館を見学し、慰霊碑を参拝し、原爆犠牲者の慰霊のための追善廻向の祈願のお祈りをしました。昨日の気温は37度にもありましたが、爆心地付近の原爆の熱線の3000〜4000度に比べるとそれほどでもなく、75年間は草木も生えないと言われていましたが、被爆79年経った現在、平和記念公園には大きな樹が立派に育っているため、木陰に入れば暑気を払うことも多少できています。

平和公園の木陰にて
75年は草木も生えないと言われていましたが、79年後にはこんな立派な樹が育っています
慰霊碑から平和の灯火、原爆ドームへは一直線になっています

慰霊碑から直線上に位置する原爆ドームとの間には、「平和の灯火」があります。この平和の灯火は宮島弥山の山頂のない霊火「消えずの火」を分けたものであり、現在リンポチェが滞在されている真光院は、この弥山山頂の三鬼大権現を本尊とする西広島別院でもあります。ダライ・ラマ法王猊下はこの弘法大師がこの霊火を灯されて千二百年目の年に総本山デプン大僧院との交流の記念に広島で日本別院・大聖院を訪れて下さいました。現在チベット仏教のゲルク派の総本山の日本での活動拠点が広島であるのも、不思議な仏縁であることは確かでしょう。

先日式典がありましたので普段よりも献花がたくさんしてあります

明日は定例法話会が午後からあり仏教を実践する人の眠り方についてのお話しがあります。また月曜・火曜は月例のターラー菩薩の供養大黒天の供養があります。平和記念公園の平和の灯火は、核兵器が地上からなくなる日には消す予定とのことですが、私たちの心に灯すべき燈明は、決して消すべきではなく、この地上がある限り、衆生がいる限り、みなさんと灯していきたい無尽の燈明ということができると思われます。

日本別院でのチベット式の献灯

いまのように暑い時期には日本別院では献灯をすると室内がさらに大変熱くなりますが、現在も随時献灯者を募集しております。みなさまどうぞご利用いただけますようお願い申し上げます。

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