2024.04.25
དཔལ་ལྡན་འབྲས་སྤུངས་བཀྲ་ཤིས་སྒོ་མང་གྲྭ་ཚང་གི་ལོ་གཅིག་རིང་གི་གནས་ཚུལ་ཆེ་ཁག་རགས་བསྡུས།

デプン・ゴマン学堂年次報告書(2023年度)

自2023年4月1日・至2024年3月31日
第16期デプン・ゴマン学堂運営委員(和訳・日本支部事務局)

2023年4月1日付でデプン・ゴマン学堂の寺務局では、第17期委員が第16期委員より役員会にて前期の事業継承し、一年が経ちました。この一年間では、本学管長猊下、前管長諸猊下ならびに上座の古参老師方、会衆の諸師は変わらずお健やかにお過ごし頂いたほか、釈尊の教宝たる三蔵を講釈し聞法し、仏道三学処の実践しつつ、聞思・断定・所行の三輪行を殊勝に興隆されておられます。本年度における本学堂の主要な本学堂の事業の内容と現況についてご報告申し上げます。

1. 僧脈現況

2023年度の本学堂に常住する学僧総数は1725名です

現在本学堂に正規に在籍する学僧総数は計5,617名です。このうち本年度の各学寮からの在籍僧の居住状況報告を合算すると現在の本学堂に居住する学僧総数は1,725名となります。

2023年度に新規に本学堂の僧脈へ加入した僧数は、チベットから2名、ビラクッペ、マナリ等のチベット難民居留区から3名、オーストリヤから1名、ヒマラヤ山脈地域(ラダック、ザンスカール、ヌブラ、スピティ、ネパール、ブータン、モン等)から64名、モンゴル国およびトゥヴァ共和国等のモンゴル系、その他ロシア国籍の者を含め34名が新規に総脈に加入し、計104名の学僧が新規に入門しました。

本年度の新規入門者にはチベットの三大化身の御一人であるオン・ギャルセー・トゥルク師およびゴマン学堂前管長ハルドン・ケンスル・テンパ・ギャルツェン師の御両名の再臨師も含まれています。

2. 教育育成活動

本年度、恒例の四大法会期の問答法苑、学級対抗問答法戦大会、深夜問答大会といった大小の規模の法会期間では、本学堂学僧諸氏の学問発展のため、伝統的な開催法に則って随時問答法苑を開催しました。本年度の期末試験に参加した学僧数を以下ご報告申し上げます。

先日行われたデプン・ゴマン学堂学校での期末試験の受験者は総数286名となります。また本学堂年末試験に参加した学僧の総数は747名です。(ゲシェーの課程に進級していない者以外の総数は1,033名です)またゲルク派三大総本山ならび大本山共同で運営しているゲルク派共通試験への参加学僧は241名となりました。そのうち本年度のゲシェー・ラランパ位を取得した者は37名、ゲシェー・ゲシェー・ツォクランパ位を取得した者は2名、ゲシェー・カチュパ位を取得した者は15名、ゲシェー・ドランパ位を取得した者は6名となり、本年度は本学堂から合計60名のゲシェー位の取得者を輩出しました。このゲシェー位の取得者数は史上最多であり、一年間にゲシェーラランパ位の取得者が37名も輩出したことはこれまでなかったことで大変素晴らしい成果を出すことができました。また本年度のジャン冬法会(ジャン・グンチュー)へ出仕した者は500名弱となり、他にも例年の五大聖典の討論会、三日間『量評釈』に関する討論会といった法会を開催し、多くの学僧たちが伝統教学の学習課程に参加しました。

また伝統教学課程以外では、本年度の自然科学学級の期末試験受験者は130名、自然科学学級の最終4年次の修了者は34名、英語は31名、漢語は3名、特別補修クラスのうち一年次39名、二年次54名、三年次25名、四年次49名、伝統教学課程以外の一般教育課程の受験者は計167名となりました。

2020年新設のゲシェー学位取得者を対象とした真言密教学級(三学級)では本年度96名のゲシェー学位の取得者が真言密教の研鑽に励みました。また2024年3月には3日間の第14回真言教義検討会が開催され、その後真言密教の試験に参加したゲシェー学位取得者は合計40名となりました。

上記の各試験の結果での成績優秀者には、本学堂管長ならびに僧衆一同列席のもと表彰状・記念品が授与され、学堂僧衆一同からの讃嘆を受ける法要も試験委員会ならびに寺務局主催にて開催しました。

また上記の本学堂の各種教育事業における仏典講伝の教授陣、寺務局ならびに関連部局などを含む本学堂の各種役職を担当する役僧は、計271名(在家の通勤者を除く)となります。僧衆への給食委員ならびに臨時の職務を含むすべての収支は寺務局の収支決算に含まれます。

3. 各種法務

ダライ・ラマ法王猊下を筆頭とする教法を護持する諸師、ならびに本学堂管長・前管長・上座の老僧、化身ラマの方々、ゲシェー位の取得者、そのほか学僧会衆、有縁の施主のみなさまが福寿長命にして、衆生済度の活動がより発展し、本学堂の仏典講釈・行法成就などの興隆を目的として、本学堂では毎月2回、諸多羅儀軌、護法尊特別供、勝楽善資供などといった各種法要を学堂主催にて執り行っております。またチベット亡命政権や本学堂の所在のチベット難民居留区の行政府の依頼などにより各種法要を随時行っています。また本学堂護法堂にては、護法堂の特別供養ならびに金剛瑜伽女尊の我入法などを常時修法しております。

特に本年度は、ダライ・ラマ法王猊下の御誕生祝賀会を盛大に開催させていただいたほか、ゲルク派共通試験の一部が本学堂で開催していた時には、ラランパの2学級の学僧たち、試験官のみなさま、またゲルク派共通試験委員会の役僧ならびにスタッフのみなさまに飲食のご接待を献上し、総勢352名の賓客をお迎えすることができました。また本学堂の護法尊六臂大黒天の聖地パルデン・シャワリーパ(ブッダガヤ近郊)においてダライ・ラマ法王猊下の説法会等の行事に参加した学僧ならびに関係施主各位をお迎えし、六臂大黒天十萬供養の法要を開催させていただくことができました。

4. 説法会の開催

2023年8月3日より一週間に渡りガンデン座主ジェツン・ロサン・テンジン・ペルサンポ猊下より本学堂新問答法苑にてギャルツァプ・ジェによる『宝性論』釈ならびにジェ・ツォンカパの『菩提正論』冒頭の講伝会が開催されました。次年度には『菩提正論』の続きならびに『菩提道次第広論四註』の講伝を約20日間に亘り行っていただくこととなりました。

また2024年1月12日からは本学堂管長猊下等のご発願により、当代の大善知識ジェツン・ユンテン・ギャツォ師によるサムロ学寮集会堂にて、アク・シェーラプ・ギャツォの勝楽・秘密集会・怖畏金剛の三本尊の生起次第・究竟次第、怖畏金剛十三尊祈願法、デティ・リンポチェの時輪生起次第の伝授会を広大に行っていただけました。

2024年2月4日午後、本学堂集会殿にてデプン大僧院前座主ジェツン・ロサン・テンパ猊下に対する、本学堂管長猊下・経頭・維那の三役の発願により、第十三世ダライ・ラマ法王の著された勝者ツォンカパ大師に対する『師瑜伽千供儀』およびグンタン・リンポチェの『有義礼讃』の講伝が成満し、第十四世現ダライ・ラマ法王猊下の法脈にある『八千頌般若波羅蜜経』の講伝が開始されました。

5. 学堂設備の新設ならびに補修

本学堂十六学寮会議の許可を受けた上で、本年度各種施設の以下の通り新築・修繕・造営事業を行いました。

現在本学堂のすべての法要を行なっている新集会殿の後方の外装の補修、同地上階部分の広場となっている問答法苑の外周の柵ならびに石材の補修工事を行いました。また新集会殿の上階にある会議室および執務室については改修工事を行い、室内の調度品も新調しました。新集会殿部分では入り口部分の壁画や彩色も経年劣化が著しいため、仏師をお招きし壁画の修復ならびに彩色の補修作業を行いました。

新問答法苑棟の周辺では、基礎工事を継続し、植樹を行い、内部の調度品を新調しました。また映像音響設備を充実させるため、備品を新規に購入し現在使用中となっております。またチャンキャ・ラブランからの御寄進でダライ・ラマ法王御寝所・御台所などの設備を新調しました。また高僧のご来賓を接遇するため、高僧専用室を備品も含め新調しました。上階部分には接遇用の専用台所設備を整備ました。

また近年春期における水不足を解消するため、寺務局棟から近い場所には地下水の揚水設備を設け、新問答法苑の右側には貯水槽は新設工事を開始し、現在建設中です。この貯水槽は二つの揚水設備が装備される予定です。

また旧来賓棟のうちゴマン・ノルリン・ドンカン棟では屋上の日除板を補修し、カンサル・ドンカン棟ではトイレ等の水まわりを補修し、新来賓会館タシ・カンサルでは室内の備品を充実させ、敷地内には簡易プールも造営しました。また現在喫茶食堂を新設工事中であり、これまでの旧喫茶食堂では内装のリフォームを行い、これまでの個室を修繕し新規個室も増設するといったさまざまな改装工事が現在進行中です。

また学堂の農地の周囲には有刺鉄線を張り、ドーグリン第三キャンプ村側の道路に面している農地の脇には七千本以上のビンロウ樹を植樹しました。また現在の農地の左右三カ所で農業用水の掘削工事が進行中です。

本学堂ではさまざまな行事に合わせて来賓のご接待を行っています

6. 経本出版活動

本学堂図書館の出版部門では、施主などからの御寄進を受け無償で支給する施本と印刷製本費のみで頒布する経本を随時編集・出版しています

本学堂図書館では、学僧たちが利用する経本、法話会で施本とした経本、学堂で読誦するための経本など、計11,100部の経本を本年度に出版しました。

7. 渉外活動

管長猊下のロシアご訪問

本学堂はチベット中央行政機構ならびに居留区支局をはじめとし、各総本山各学堂、本学堂への受入僧脈のある地方僧院、公式の各国仏教会、施主・関係者各位と日常的に連絡を取り各種の渉外事業を行なっております。

特に2023年6月下旬には、本学堂現管長ケンリンポチェ・ジクメ・ギャツォ師および寺務局主事ゲシェー・モンラム・ギャツォ師の両師がアメリカ合衆国を公式訪問することとなりました。また8月中旬には、現管長、寺務局主事、サムロ・ケントゥル・リンポチェ・テンジン・チョクラン師の三師はロシア連邦ブリヤート共和国、トゥーヴァ共和国、カルムキア共和国、モスクワ支部などを訪問し、関係者と会談を行いました。

また2023年11月18日に、グンル・ゲシェー・ガワン・ツルティム師、シュンパ・ゲシェー・サムテン・ギャツォ師の両師を本学堂の代表としてモンゴル国首都ウランバートルへ派遣し、ガルダン僧院の新管長に就任された本学堂出身のゲシェー・ジェツン・ドルジェ師に対し、今後のより一層の仏法興隆・衆生安寧のご活躍を祈念し、本学堂より教主釈迦牟尼如来の御尊像を寄贈させていただきました。またこの20日には同僧院の前管長チューギャツォ師に対して、これまで31年間管長職を務められモンゴルを中心とする北アジア地域の仏法興隆に貢献してくださったことに関して心からの謝辞を表し、本学堂より教主釈迦牟尼如来の御尊像を寄贈しました。

本学堂で学ばれたゲシェー・ジェツン・ドルジェ師はウランバートルのガルダン僧院の管長に就任されました

8. 来賓の往来と接待

アルナチャール州首席大臣シュリー・ペマ・カンド殿下御一行によるご訪問

本学堂では、日頃から訪問客をフブリあるいはバンガロールまで送迎し、学堂に滞在中には食事などの接待を行なっております。また訪問客の受入などに関する公式文書の発行、手続きの支援などを行なっております。

本年度の主要な接待としては、10月にはデリーにて、チベット人議会欧州代表ツァコ・トゥプテン・ギャツォ議員を寺務局主事他一名で接遇したほか、11月にはアルナチャール州首席大臣であるシュリー・ペマ・カンド殿下御一行から、参拝のための公式訪問を受け、ダライ・ラマ法王猊下の客殿広間にて接遇し、釈迦牟尼如来像を大臣ほか随行員の全員に授与させて頂きました。

また本学堂に所属されるティクセ・リンポチェ・ジェツン・ガワン・ジャムヤン・チャンパ・テンジン師を、2023年12月17日、本学堂管長ほか学堂一同で公式にお迎えすることが出来ました。

また2013年末にブッダガヤで開催されたダライ・ラマ法王猊下による伝法会に際して、本学堂の受法者のためのエリアにて、カルムキアからのラマたち、チベット人議会欧州代表トゥプテン・ギャツォ氏、ガンデン・ポタン財団のガワ・ツェルギャム氏、本学堂台湾支部の支部長および信徒のみなさま、モンゴル、ロシアから参加した本学堂関係者を合わせて総勢五百名の客人をお迎えし、全員に記念品を授与させて頂きました。

9. その他の特記事項

デプン大僧院の新経頭ハルドン・ケルサン・ツェリン師

本学堂所属のハルドン・ゲシェー・ロサン・タシ師はこの二十年間、デプン大僧院の大集会殿の経頭職の大任を務められておられましたが、この度退職のご意向を表明されることになりました。それに伴い、デプン大僧院の各学堂に在籍する、儀軌と声明にも通じた計六名の次期経頭職候補者を選出し、ダライ・ラマ法王猊下のご意見を伺ったところ、現在本学堂の経頭職を務めているハルドン・ケルサン・ツェリン師に対する勅定を頂くこととなりました。これに則り、水卯歳7月28日(西暦9月12日)付けで、同師は新経頭に就任なされ、前任者にはデプン大僧院協議会より感謝状ならびに記念品が授与されました。これに際しては本学堂でも同様に謝意を表明することとなりました。

また本学堂との法縁を深くお持ちであられたキャブジェ・モチョク・リンポチェの示寂に際して、また永年にわたる本学堂への順縁の支援者であるサンドラ女史のご逝去に際して本学僧衆一同、廻向法要を勤修し祈願させて頂き心からの弔意を表することとなりました。

10. 社会貢献活動

チベット難民居留区の学生のためのスクーリング

本年度、デプン・ゴマン学堂仏教文化協会および本学堂の両者の主催で、難民居留区学校の長期休日を利用して、毎年一ヶ月のチベット語および仏教文化の発展学習のための特別集中スクーリングを開講し、本年度は第二十六回目の特別集中講座を開催させて頂きました。

また2023年7月末には、カナダ在住のチベット人学生を対象に、一ヶ月間の宿泊設備および食事の提供を行い、チベットの伝統仏教ならびに伝統文化に関する講義などを開講させて頂きました。

また2023年12月末よりモンゴル出身のゲシェー・ブンサン師のご案内で訪問したモンゴルの元公務員・知識人の方々に二週間の研修のための宿泊設備および食事の提供を行い、仏教の入門講座、講義などを行わせて頂きました。

本報告書は2024年4月18日・19日に開催されました本山連結決算報告総会・役員会にて決済されました。〔同窓会・役員会についてはこちらの記事をご参照ください。〕


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