本日4月19日(金)・明日4月20日(土)の二日間、ダライ・ラマ法王猊下による伝法会が開催され、日本語同時通訳付で両日午前11:30からオンラインでの配信がございます。この二日間の伝法会では、ゲルク派の宗祖ジェ・ツォンカパ大師を通じた師瑜伽(グルヨーガ)の短いテキストである『兜率百尊偈』の法脈の伝授ならびに講釈が行われる予定になっております。
『兜率百尊偈』は、弥勒菩薩がいらっしゃる兜率浄土の数多くの諸尊たちの守護者である弥勒菩薩の胸元からジェ・ツォンカパ大師が愛弟子たちを伴い、私たちの眼前の空間にいらっしゃり、私たちが礼拝・供養・懺悔・随喜・勧請・請願・廻向といった七つの支分からなる実践により、善業を積み、罪業を浄化することで、私たちの心を成長させ、苦しみから解放させ、究極の幸せの境地である解脱と一切相智の境地たる仏道を生起させるための土台づくりを行う実践法を簡略に説いています。
4月21日(日)は、これに引き続き、弊会の定例法話会でジェ・ツォンカパ大師の表された根本聖典『菩提道次第広論』の冒頭部分である師事作法のひとつとして、『華厳経』普賢菩薩行願品に基づいた七つの支分についての解説が前回に引き続き行われます。
すでにみなさまもご存知の通り、大乗仏教の伝統では、まずは善知識に正しく師事する、ということが何よりも大切なことであり、私たち大乗仏教を奉じる仏弟子であれば、『般若経』の常啼菩薩や『華厳経』の善財童子のように善知識に師事しなくてはならず、同時に秘密真言乗を学ぶ上でも自らが師匠とする方と本尊とを無区別に観想して、積善浄罪する必要があります。
聴聞の功徳についてはジェ・ツォンカパが引用される馬鳴菩薩の『本生鬘』では次のように説かれています。
聴聞とは無知の闇を取り除く燈明である
どんな盗人でも奪えない最高の宝である
どんな無知の敵でも負かす武器である
方規を教えてくれる最高の友である
貧しき時も変わらない親友である
癒えぬ重病を癒してくれる薬である
また『瑜伽師事論』菩薩地には聴聞する法には次のような五つの功徳をイメージするととよいとされています。
- 希少価値がある「宝物」である
- いまある知性を忽ちに広大にさせる「眼」である
- 知性の慧眼をもつことから「照明」である
- 最終的には涅槃と大菩提という結果をもたらす「最高級の成果を生み出すもの」
- 心を落ち着かせ知性を明晰化し罪業を行わなくする「罪障を回避させるもの」
こうした忽ちにご利益のある教えですので、みなさまこの素晴らしい機会を万障繰り合わせの上、みなさまと共に仏法という甘露を共有できるようご案内申し上げます。
『兜率百尊偈』伝法会
- 4月19日(金)・4月20日(土) 日本時間 11:30 – 13:00
- 伝法大阿闍梨:ダライ・ラマ法王第14世テンジン・ギャツォ猊下
- 内容:『兜率百尊偈』(予習用にテキストの和訳を準備しました)
- 配信:次のリンク先から参加可能です。
定例法話会:仏教の実践と思想
- 日時: 2024年4月21日(日) 13:00-16:00
- 講師: ゴペル・リンポチェ・ガワン・ニェンダー師
- テキスト
- ジェ・ツォンカパ・ロサンタクパ『菩提道次第広論』
- クンケンジクメワンポ『学説規定摩尼宝蔓』
- 内容:普賢行願讃の七支と経量部の学説
- 会場: 真光院
- 参加費:志納