弊会では弘法大師空海が厳島・弥山開創1200年記念に、チベットのラサのデプン大僧院にある弥勒菩薩の仏像の写しの仏像を本尊とする弥勒堂を大本山大聖院に建立し、2006年11月にダライ・ラマ法王第14世猊下およびデプン・ゴマン学堂から10数名の高僧をお迎えし、開眼善住法要をしていただきました。その際法王猊下からのご提案に基づき、ダライ・ラマ法王猊下の日本で初の密教伝授となった両部曼荼羅の伝法灌頂会を開催しました。この事業の一環で当時の交流拠点、龍蔵院に設定していたデプン・ゴマン学堂日本別院で仏像・経典・仏塔などの所依も開眼善住法要をしていただきました。その後、2019年に活動拠点を現在の真光院(大聖院西広島別院)へ移転し、昨年2023年よりは本山より再びゴペル・リンポチェをお迎えし各種交流事業も再開いたしました。
現在の真光院では仏像・経典・仏塔なども移しましたが、収納場所の関係上、デルゲ版チベット大蔵経全巻317巻を収納することが出来ず、一時的に事務局で保管しておりましたが、このたび大聖院弥勒堂へ全巻を移送完了いたしましたのでご報告申し上げます。今後、本年チベット暦正月一日、二月十日以降、奉納作業を随時開始してゆきたいと存じます。
またゴペル・リンポチェの監修のもと、奉納者の方々のご芳名は、各経帙の末尾に随時次の資料のように記載していくこととなりましたので、ご確認いただければ幸いです。また昨年来、大聖院弥勒堂の所依目録を作成しつつあり、そこにも釈尊のお言葉の所依の施主として随時ご芳名を記載させていく予定となっております。
経帙の起源は、釈尊在世の時に遡り、霊鷲山の上で説かれた般若経を、帝釈天が、貝葉形にした黄金の上に、瑠璃(ラピズラリ)を溶かして文字で記したものが三十三天に現存し、同時に、龍が釈尊のすべての教えを筆記し経帙として保管したものが、龍国に保管されているというのは大変よく知られておりますが、そこから龍樹菩薩は、般若経のうち略広本(『十万頌般若経』)・略中本(『二万五千頌般若経』)・略略本(『八千頌般若経』)を中心とする様々な大乗仏典を請来し、それらがチベット王たちが施主となり、ナーランダー僧院やヴィクラマシーラ僧院からチベットへ入った学者たちとチベット人翻訳官が共同で翻訳し、それらが集大成され現在の大蔵経仏説部となりました。
大聖院弥勒堂にはすでに本尊弥勒菩薩の体内に、歴代のダライ・ラマ法王の御物として伝わる仏舎利が納められており、私たち仏教徒の根本の師である釈尊の仏舎利とともに現存し私たちが触れることができる釈尊のお言葉のすべてが一同に会することは、未来の参拝者たちに無量の善資の積集の機会となることが期待できます。
また何よりも釈尊のお言葉そのものである大蔵経を納経することの功徳には図り知れないものがあります。その功徳がどのようなものなのか、ということについては大蔵経のなかにさまざまな記述があり、釈尊の言葉を文字に記し、それを他人に筆写させたり、開版させたり、それらの事業を依頼する者は、視力と記憶力が向上し、思考力も高くなり、来世においてもよい生を得ることができるようになり、常に仏法と離れることがなくなり、最終的には仏の境地を実現することとなると言われています。同時にたった一偈の経文であっても、この世界のすべての衆生を正しい道に導いて千年以上もの間神々をさまざまなもので供養するよりも、圧倒的にそれを上回る功徳があると説かれております。
こうした仏像・経帙・仏塔といった釈尊の身体・言葉・精神を象徴するとは一体どのようなものであり、それはどのような起源があり、それらを造立し礼拝し供養していくことにどんなメリットがあるのか、ということについてはすべての仏教徒にとって極めて重要なことでもありますので、随時本サイトにて紹介していきたいと思います。また本デルゲ版をはじめとするチベット大蔵経は現存する仏教文献のなかで最も権威のあるものであり、それがどのように出来て、どのように開版されていったのか、といったことについても徐々に本サイトにて紹介させていきたく存じます。
取り急ぎ、大蔵経仏説部・論疏部の全巻はすでに弥勒堂内に安置されており、今後全巻全頁に渡り落丁や混乱などを確認し、奉納作業を開始することとなりましたので、ご報告申し上げます。既に奉納者としてご登録頂いております方々に改めて深く感謝申し上げますとともに、未だお申し込みをいただいておられない方にも数に限りもありますので、お早めにお申し込み頂けますようお願い申し上げます。
今後の予定と奉納のお申し込み
- 本年のサカダワ大祭15日まで随時奉納者を募集いたします。
- 本年4月8日の弥勒祈願祭にてゴペル・リンポチェが略式の善住法要を再び行います。
- 略式の善住法要が完了した時点で、施主の皆様にはご連絡いたします。
- 本年ゴペル・リンポチェは仏説部全巻の口伝の伝授を受けられるとのことです。来年以降はその伝授に基づき、随時毎月本大蔵経の一部ずつを勤修していきます。
- 今後は大聖院弥勒堂の宝物として、随時参拝者にも公開していきます。
奉納者の廻向祈願文と各施主名の記載用ページのサンプル
このたびの奉納事業に際して、仏説教法燦然偈・弥勒祈願文などが印刷されたのち、各施主の願文がチベット語で記載されていきます。(黒字部分が個々の奉納者氏名となります)
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