2023年12月7日 チベット暦10月25日のジェ・ツォンカパ大師の大遠忌法要である水卯歳 兜率五供 万灯会が成満しましたので日本支部の拠所である真光院にて勤修し無事に成満致しましたので、ご報告いたします。
弊会では、この法要は1999年に東京都新宿区の区民センターにて行って以来、毎年年末にはチベット仏教文化圏の大規模な大祭に比べると非常に小さな規模ですが、ゴマン学堂の僧侶の方々が日本に滞在されておられる時は欠かさず行っておりますが、2019年に真光院に拠所を移転して以来、初の兜率五供の開催となりました。
午前中にはまずジェ・ツォンカパがご本尊となされた、秘密集会・勝楽・怖畏金剛の三尊の供養をゴペル・リンポチェが行われ、夕刻18:00からは参拝者の方々も参列され、師資相承供・護法尊供酒法に加え、ジェ・ツォンカパを追想するダライ・ラマ法王第一世ゲンドゥン・ドゥプの『東方雪山偈』などをお唱えいたしました。
ゲンドゥン・ドゥプの『東方雪山偈』(ཤར་གངས་རི་མ།)は2019年にダライ・ラマ法王猊下がガンデン僧院にて口伝の伝授を行われたように、恩師ジェ・ツォンカパのご座所であったガンデン僧院に向けて、ゲンドゥン・ドゥプが編まれた詩頌であり、深い叙情に満ちており、ゴペル・リンポチェもこの偈を節をつけて唱えられる時には、「思わず涙がでそうになって詰まりそうだった」とお話しになられました。参列者の方々からも様々なメロディーで2時間ちかく唱えられるリンポチェと誦諷の声に大変感銘を受けたとの声も寄せられました。
デプン大僧院は、ジェ・ツォンカパ大師ご自身が仏典の講読を行うために直弟子のジェ・ジャムヤンチュージェに命じて創立した僧院で、ジェ・ツォンカパ大師ご自身が「母よりも子は興隆するだろう」とガンデン僧院よりもデプン僧院が興隆していくことを予言されたように、世界最大規模の僧院であり続けました。
現在本土チベットを追われ、現在はインドの難民居留区を拠点として復興されていますが、今日でも世界最大の修行道場であり、歴代のダライ・ラマ法王をはじめとする重要な指導者たちを今日でも育成しているチベット仏教圏の最もコアな学問僧院です。
日本の支部は、極めて小規模ではありますが、ジェ・ツォンカパ大師の法恩ならび歴代の師資相承に恥じぬように、日々精進を重ねておりますが、これもまた日本でご支援して頂いている施主や関係者の方々の温かい支援の賜物です。このことを改めて感じ深謝申し上げるとと同時に、この機会に灯した燈明が無明の暗闇を打ち払い、これからもチベット・日本の仏の教えを求めるすべての人々、そしてすべての生命あるものが、心穏やかに、楽しく心安らかに過ごせるよう関係者一同願ってやみません。
ダライ・ラマ法王第一世ゲンドゥン・ドゥプの『東方雪山偈』(ཤར་གངས་རི་མ།)とは次のようなものです。以下、冒頭部分のみをご紹介しておきます。
東方の雪山の白き山頂へ
白雲が連なり天空を流れてゆく
その光景を視つめて師を回想する
恩を思うたびその度に信心は溢れでる白い雲が連綿と飛んでゆく東方には
遊山の麓に至善の兜率宮が広がっている
君の名を称えて恩を語るのも至難である
父ロサンタクパと高弟たちはただ住し給う菩提の道 そして二次第の瑜伽
これらの甚深法が広大に説かれている
このチベットのヒマラヤの賢劫たちを
救護し給う君の恩は無限で不可思議である三門を狂気から護らんと善志を実現した
そんな私でも僅かにこの法と向き合えた
これは至尊の師弟の御意の賜物なのである
恩の深さと大きさは確実である 師弟方よいまこれから菩提にいたるその時まで
至尊師弟よ 私はあなたたち以外へと
帰依しないし誰にも期待することもない
それ故 慈悲の君よ 御鉤で摂取し給え
頂戴した重責のすべてを全うできないが
貪瞋には決して支配されぬよう心がけよう
救済主よ 君の教えを護持するためなら
どんな時も常に一心に精進を継続したいいまはもうこの雪の山の麓の地方では
ダライ・ラマ第一世ゲンドゥンドゥプ『東方の雪山にて』より
君の教えを護ると自認しているけれど
別な物を純潔と取り違える者さえもいる
この現状に悲痛の慟哭が心底響いている