チベット暦水卯歳9月26日(2023年11月9日)より、伝統に基づいて、チベット暦2150年(2023年)度の本山デプン・ゴマン学堂の重要行事のひとつとして、本年度のゲシェーの学位の取得予定者が、本山問答法苑にて、学堂全体からの問答の対論者として着座し、ゲシェーの学位就任の謝恩法戦式が行われています。
本年度は学堂の教育課程を終えて、ゲルク派吉祥文化協会の開催するゲルク派共通試験に6年間合格し、最高位の学位である「ゲシェー・ラランパ」の学位を取得するものが計37名、それ以外のゲシェー・ツォクランパ、ゲシェー・カチュパを合わせて総勢54名のゲシェー位を取得予定の学僧たちが、釈尊の聖言教と正理道によって教法を護持する会衆の中心に座し、五大聖典の難解な箇所について諸先輩や学匠たちによる問答に答える対論者の大役を果たしました。
本法戦式の後から彼らは「ゲシェー」の学位を取得したとした者として、希望者はそれぞれの所属の学寮や出身地に応じて、ギュメー密教学堂もしくはギュトゥー密教学堂へと入門し、一年間のゲシェーとしての密教儀軌の基礎を学んだ後、さらにゴマン学堂へ戻り、ゴマン学堂の密教研究課程へと進んでいくことができます。それ以外に各出身寺院へと戻り、教師などとして活躍したりする者もいます。
かつてこのようにしてゲシェー・ラランパの学位を取得され、現在日本にいらっしゃっているゴペル・リンポチェは、次のようにコメントされました。
「20年以上も朝から晩まで教学の学習に励み、厳しい試験に合格して、最後のゲシェー位まで取得できるためには、家族や支援者からのサポートはもちろんのこと、本人の弛まぬ努力も必要です。途中でさまざまな状況で学習を継続できなかったり、成績が悪くて落第し進級できない恐れもあります。」
「このような学習環境は亡命社会にダライ・ラマ法王のご指導で現在復興されていますが、それも決して当たり前のものではありません。」
「そのようなあらゆることを乗り越えて、継続的に20年以上も教学の探求にひと段落がつくまで仏法に参学できるのは、本当に一握りの恵まれた僧侶たちだけしかいません。私m含めてこのような課程を経てゲシェー位を取得できるのは、必ず前世からの仏縁の強力な力に依っていることである、と思います。」