2023年10月23日午前より、本年度の学年末試験のうち記述形式の試験がはじまりました。
記述試験は全学級にわたって約3時間の回答時間があり、問題が何問かありそのうちの何問かを答えるという形で行われます。問題はかなり難しく、きちんと学習していないとできません。たとえば阿毘達磨学の学級では、
- 「教科書(イクチャ)では定義・分類・五つの特徴を説明しており、その論証とそのほかの特性を説明している。そのうち無表色に関する定義・分類・五つの特徴・その論証法を教科書(イクチャ)の説明通りに詳しく書きなさい。」
- 「『倶舎論本偈』には「地獄・餓鬼・畜生と…二十種がある」と説かれているが、ここの二十種とは何かをすべて記述し、それらがなぜ欲界の衆生であるのか、ということについて明確に書きなさい。」
といった設問が8つあり、8つの設問のうち5つを選択して解答し、設問ごとが20点で合計100点満点の試験となっています。試験会場には座布団と筆記用具以外には持ち込み禁止ですし、他の受験者と話すことも禁じられています。もちろん机などはありませんので各自が折りたたみ机やボートを持参します。
上記のような問題は、仏教学を専門にしている研究者でも文献を見ることなく正解を書くことは非常に難しいです。またどんなに高名な化身ラマでも決して試験は免除されませんし、各僧侶の獲得した学堂全体にすべて一律に張り出され、落第点の場合には留年となります。
こうした厳しい試験を課しているのは、いちいち仏典や教科書をみなくても各自で内容をきちんと理解し、説明できるようになるためで、学僧たち全員が日頃の学問修行の成果が公正に検査されるようになっています。ゴマン学堂で行われるこのような試験を17年間合格したのち、さらにゲルク派共通試験を6年間すべて合格してはじめて「ゲシェー・ラランパ」の学位を得ることができます。
さらに仏教興隆のため、試験の内容は定期的に見直され、簡単にはなるのではなく、より難しく(!!!)なっています。このような方針はすべてダライ・ラマ法王猊下のご意向に従ったものです。