夏といえば海にもぐり、ゴツゴツとした川石をひっくり返し、水の中の生物を追いかけることが日課だった。
カワハギの幼魚は舵をきるのが得意で、手を伸ばそうとしたその途端に、巧みに方向転換をしてみせる。体の力をぬいて浮きつつ、ゆっくりと大きく腕を動かしてチャプチャプとよせてはかえす波の下で魚を追いかける。それが夏というものだった。
髪と髪の間の砂やあおさを流すだけの風呂でも、赤手がにが文字通りの大手をゆっくりと振り、ヤモリに、もはや地主といった感の大きな蜘蛛の動きをうっとり眺めて昼日中を過ごし、塩っぱさになれた口に含む驚きの甘さのカルピス片手にシートン動物記をめくり雄大で厳しい銀世界を、扇風機の前で時折「あーーーー」と風を含んで言いながら楽しむ。それが夏というものだった。
賢くない田舎のものは集中力がないが、飽くことを知らない。季節以外に移ろうものが少なく、島の世界に浸って生きているのだから、小一から中一へと時が移ろっても当の本人にひらきがないのである。親の心中察して余りある。
早くに諦めがついていたのであろう、夏の注意点は学校でのそれと大きく異なり、帽子をかぶれ、国道を渡るときは集中しろ、ご飯を食べずにアイスを食べるな、くらいであった。
一方のヒマラヤで生きてきた彼らの思考は賢く、飽くことがない。
世界に浸らずとも理を解した以外の世界に身を置いて、目で見ずともすべてを理解しようと生きてきた。もはや同じ時空に同じスピシーズとして存在することですら奇妙だとも言える。
ゲシェラが日本に来られた頃とも、ゲンギャウやアボさんが来られた頃とも変わってしまった日本の夏。
チベットの夏は素晴らしいがゆえに、 こんな暑い日本の夏は、お疲れが出ないかとみなさんがご心配くださる。去年ようやく冷房機を3つ取り付けることができたのもそのようにご心配くださった皆さまからのご供養の賜物である。何ヶ月分かの年金と保険を後回しにして、何度も計算機をたたき、食費を残して何とか設置することができたのである。
アボさんは「大丈夫ですよ。もともとこの世は苦しみに溢れていますからね。アフリカに比べたらね、いつか終わりますよこの暑さは。これくらい大丈夫です」と断り、他の支払いに回すよう仰っていたが、説得を重ねたうえで。
「ふーありがたいですね」とたっぷりの汗を書いた後、スイッチを入れてお経に戻るアボさんの日常は賢く移ろわない。
どうか皆さまもご無事でお過ごしくださいますよう。日々念じ申し上げております。
特別行事
デプン・ショトン祭
月例行事
開運焼香供養
日時:2018年8月1日(水)10:00
拠所:龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院
詳細:こちらから
師資相承供養
日時:2018年8月5日(日)16:00
拠所:龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院
詳細:こちらから
大聖院弥勒祈願祭
日時:2018年8月8日(日)11:00
拠所:大本山大聖院弥勒殿
詳細:こちらから
緑多羅四曼荼羅供
日時:2018年8月18日(土)10:00
拠所:龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院
詳細:こちらから
護法尊特別供
日時:2018年8月19日(日)16:00
拠所:龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院
詳細:こちらから
月例法話会
関東定例法話会・十万龍大祭
日時:2018年8月19日(日)13:00-16:00
拠所:GOMANG HOUSE TOKYO
詳細:こちらから
近畿定例法話会
日時:2018年8月25日(土)13:00-16:00
拠所:住蓮山安楽寺
詳細:こちらから
広島定例法話会
日時:2018年8月26日(日)13:00-16:00
拠所:龍蔵院デプン・ゴマン学堂日本別院
詳細:こちらから