2018年5月1日、高野山真言宗龍蔵院としての行事のひとつである、年に一回の聖天大祭が開催されました。平塚より高橋智運住職をお迎えし、日本別院のチベット側の僧侶たちとの合同で『大般若波羅蜜経』の転読法要が行われました。
『大般若経』は中国では唐の三蔵法師・玄奘が翻訳して以来、漢字文化圏での大乗仏教の根本聖典として古来大切にされてきましたが、同時にチベット語の『大般若経』は『十万頌般若経』として釈尊の教えの根本経典として重視されてきています。
日本では年に数回『大般若経』を転読するという儀式が、現在も一般的に継続しておりますが、チベット仏教でも「ブン・シェシェー」といって日本の転読法要のようにすべてを読誦できないまでも数巻を取り出して、冒頭部分から数ページ読誦し、釈尊の教えに想いを寄せる儀式があります。
日本別院では、高麗版『大般若経』およびデルゲ版チベット大蔵経が本堂奥の秘仏大聖歓喜天の須弥壇脇に安置されており、2006年にはダライ・ラマ法王によって開眼供養された大変貴重な経帙群となっておりますが、このように年に数回ふたつの伝統仏教の僧侶たちによって転読法要を行い、釈尊の教えを追念する儀式が執り行われています。