2006.11.04

EP0301 はじめに

このたび『大日経』ならびに金剛界の灌頂を行います。

灌頂とは、共道修習ぐどうしゅじゅうを前行として行わなければならないものです。

そして最も主要なものである、菩提心、空性理解、そして心一境性をもった禅定というものを具えて始めて灌頂を授かるということになるのであって、灌頂の儀軌の次第に通りに単に伝授を受ければよいというものではありません。

ですから、そのために今回は『道の三要訣』を講読したいと思っています。『道の三要訣』は主に空性理解と菩提心について述べられています。ではその「菩提心」に先行するものとして何があるのかというと、菩提心の見解の中心には大悲心がなくてはなりません。大悲心は、他の有情が苦しみに悶えているのが堪え難いという感情があり、その感情から、彼らを何とか苦しみから救ってやりたい、と思う感情のことです。それではそのような感情を起こすためには何が必要になるのかといいますと、その前にまず自分自身の場合を考えて自分が味わっている苦しみとは何かということを考える必要があります。自分自身が一体どのような苦しみを味わっているのかということに思いを巡らせれば、その苦しみから逃れたいという固い決意が起こるようになるのです。ですから、菩提心の前に「出離心」というものを養う必要があると説かれているのです。

この『道の三つの要訣』については明日解説します。

その前に、その準備段階として、そもそも仏教とはどのようなものなのか、ということについて知る必要がありますので、それについて本日は説明したいと思います。一般的に仏教とはどのようなものなのか、ナーランダー僧院の伝統を受け継いでいるチベットの仏教とはどのようなものなのか、このことについて今日はお話ししましょう。


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