風の馬のおまつり。
みずみずしい境内にサンを焚き、風の馬を鹿ケ谷へとお招きするお経が響き渡りますと、いつの間にやら多くの方が入山されそれぞれの願いを風の馬にたくしておられます。
あいまにもお経。
美味しい井戸水を沸かした白湯をのみのみ、明るい特等席は安楽寺の客殿。さまざまなお客さまがコーヒーやお菓子でのんびりと時を過ごしている中で、すべての生きとし生けるものの幸せを願いつつ。
午後からは法話会。通訳の資料もびっちり。書院もびっちり。
ゲンゲレク師のお話が始まると、出展者のコーヒー屋さん、お菓子やさん、八百屋さん(心の中で三銃士と名付けた3人:皆はひとりのために、ひとりは皆のためにを地で行っているから。おかげで何もかもが上手く流れていく)が、それぞれのお道具を放り出して、書院にとっとと行ってしまわれた。客殿でのんびり過ごしている入山者を「はじまる、はじまる」と追い立てて(いや誘導して)。
途端、次々とオーダーをお断りする。すると必然的にチベット寺のメニューしか残らないため、皆それを注文してくださる。ありがたや。
木工芸やさんが大切にしているチベットの木版と木版画。いい絵だ。
ここから外へ出られたために過酷な日々を送られたが、そのおかげで今恩恵を受けている私たちだった。
「精進」は張りつめていない、嬉々として行う状態であると聞いてからチベット人の働きぶりが腑に落ちたことがあって以来、好きな言葉である。皆さんの善意だけで物事がまわる。今日もそんな日であった。
チベット人留学生は前日の仕込みから。
その留学生をいつもかわいがってくれるお父さんとお母さんが畑で採れたお豆とお米をお持ちくださった。なめらかで風味のある豆打、つやつや黒々としたコクのあるあんこにして。つきたてのお餅をみながほおばる。
ご住職さまご家族も総出でなんでもお聞き入れ下さって。
お経と笑いが鹿ケ谷に溢れていた。こんな平和でしあわせなおまつりに降りてこられた風の馬も得意満面であったような。
ありがたや