GOMANG ACADEMY OPEN SYMPOSIUM「伝法の未来を考える」では、現在の日本の第一線で活躍している研究者の先生方とダライ・ラマ法王の対話が行われます。それに加えて異色なゲストをシリコンバレーからお迎えいたします。
長年Apple本社でTextに関するテクノロジーの責任者をつとめていたリー・コリンズさんも特別ゲストとして参加していただくこととなりました。リー・コリンズさんは、MacOSのアジアの言語のInputMethod、言語処理についてのエクスパートで、現在私たちが使用しているMacOS/iOSのキーボードや文字処理についてすべての担当をされただけではなく、Unicodeの創設にも深く関わった。現在のコンピュータ上での文字文化の根幹をつくった人のひとりです。みなさんがiPhoneで使っているフリック入力のキーボードや漢字の手書き認識の開発なども行ってきたエキスパートです。
2012年にはアップル本社退職され、現在はNetflix社の顧問および、ベトナム語のチュノム文化保存財団を務めておられます。リー・コリンズさんアップル社の中枢部でチベット文字をMacOSやiPhoneやiPadで使えるようにしてくださった中心人物です。リーさんのこれまでの取り組みが何を目指していたのか、そしてそれにダライ・ラマ法王がどのようなレスポンスをされるのか、この日曜日の今回のシンポジウムのもっともエキサイティングなシーンが楽しみです。
以下はリーさんのトークのサマリーです。
「ユニコードとデジタル大蔵経」リー・コリンズ
1980年代以降、コミュニケーションと記述されたメディアに大きな変化が起こった。パーソナル・コンピュータ、ウェブ、そしてiPhoneに関わっているテクノロジーの革新は、書き言葉・話し言葉によるコミュニケーションをリアルタイムに、そしてユビキタスにした。オンラインのデジタルライブリーやそのほかの資源は、いまや現実のものとなり、ウェブやデバイスにアクセスできるすべての人に誰でもオープンなものとなっている。
世界中の仏教徒と仏教研究者は、この革命とあらゆる点で関わりをもっている。技術の進歩における偉大なる歩みの利点を活かし、既に多くの人々が、仏教の伝統的な経典を、これまで教えを伝えてきたさまざまな文字や言語のデジタルなフォーマットで利用可能にすることに取り組んでいる。今日の研究者や学生、そして説教師や実践者は、いまは仏教文献を素速く検索したり、原典と翻訳の比較を行うことができるのである。
本トークでは、これらの変化を、この時代のテクノロジーを職とし、幸運にもその変革の一役を担うこととなった者自身の視点で回顧してみたい。本発表では、特に多様性をもっていたUnicodeのプロジェクトに脚光をあて、それが異なった大蔵経の言語や文字における重要性についてフォーカスしてみたい。私たちがいまどこにいて、そしてここから私たちがどこに行くのかということを考えたい。